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涙止めないといけないのに毎日我慢していた寂しさと悲しさが一気に襲ってきて中々涙は止まってくれない。 焦った蘭さんが顔を覗き込んでくる。 「ごめんどっか痛かった?」 「っち゛が、うぅ、ぅぁあ…」 ずっとずっと聞きたかった大好きな声。 涙を優しく拭ってくれる綺麗な指も、たった1週間と少しで思い出になりかけていた。 「おいおい、落ち着けよ…あ〜、ちょっとこっち来い」 「ぅっ、うぅぅ…げほっ、…」 病院の廊下のど真ん中で大号泣していたらそりゃ目立つに決まっている。 手を引かれて着いたのは広めの談話室だった。ここ自体結構大きい病院だからよくある学食みたいな談話室ではなく、小洒落たカフェのような談話室だ。 もうカフェと言った方がいいかもしれない。 そこの窓側にあるカウンター席に二人で座る。 なかなか止まらない涙を横から蘭さんがハンドタオルで拭ってくれる。 「落ち着いた?いい加減泣き止まないと目が溶けるよ」 「!!ぅぅうぁぁああ…っ…」 更に大泣きしてしまう俺の肩を抱き寄せる蘭さん。 久々に感じる人の温もりに呼吸が段々落ち着いていく。 「大丈夫?」 「…んっ…すみません゛…」 それにしても、なんかいい匂いするなぁ…香水とは違う…これフェロモンの香りかな?…黒川さんとそっくりの香りだ。 「すぐ戻ってくるって」 「あ、ごめんなさい…」 俺の涙が引いてきた所で立ち上がった蘭さんの手首を思わず掴むと優しく解かれる。 黒川さんが俺の手の届かないどっかに行っちゃうみたいで怖かった。 蘭さんが歩いていったのは自販機で、ペットボトルを持って戻ってきた。 「はい、お茶でよかった?」 「ありがとうございます…え?!」 ペットボトルを差し出す左手の小指から伸びている赤い糸。 それは俺の右手の小指から伸びている赤い糸と繋がっていた。

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