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4年…4年ってどれくらいだ? ぼーっと道端に立ち尽くしたまま考える。 長すぎるし有り得ないと思うが、凛堂の剣幕とこの不可思議な状況から否定はできない。 「華…」 それとさっき一瞬見たCM。 あんな形で世間に俺の可愛い番を晒す様な事になっているとは一ミリも想像していなかった。 まさか本当にモデルになっているなんて。 悪い虫がついていないだろうか。 ただでさえ綺麗なのにその上フェロモンばら撒きだぞ。 周りの人間が放っておくわけが無い。 もしかしたら、もう他の…。 「…そんなの無いに決まってる」 自分を安心させるように呟いた声はやけに震えていた。 万一他のアルファに誑かされても一線は越えていないはずだ。 越えたくても最悪死ぬかもしれないのは華もよく知っているだろうし、それは義務教育レベルの知識だ。もちろん相手のアルファも理解しているはず。 頭に浮かんだ嫌な結末を掻き消すように頭を振る。 その時、左手を何かに強く引かれた。 正確に言うと左手の小指。 そこに巻き付いているのは赤い糸だった。 「…糸!」 糸だ、そうだ、俺には糸が視える。 運命の赤い糸は華と繋がっているに決まっている。 「っ…クソ」 行くしかない。たとえ俺の知らない人間といても奪い返す。 しかし何故だか嫌な予感しかしない。変に胸がザワついた。 こういう時の予感は大体当たるもんだ。

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