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自分の鼻にかかった声と、耳元で聴こえる短く熱い息。 フッ、フッ、と荒い息が聴こえるその向こう側で、どちらかの下着からぐちぐちと音が鳴る。 だらしなく開いた口からは、意味を成さない音しか出ない。 「ぁ…あっ…!」 快感から滲む涙を瞬きで散らし、一層つよく広い背中にしがみついた。 はいってないのに、この状態。 のしかかられている重さと体温さえ気持ちいいなんて、馬鹿みたいだ。 全部気持ちよくて、ずっと気持ちいい所から降りてこられない感覚が怖い。 でも全部、廉さんから、もたらされるものだと思うと、悪くない気分でウフフと声を上げそうになる。 「はあっ、、だめ、廉さん…」 「っ…なにが」 その問いには答えられず、口からはただ喘ぎ声が出た。 これだけ声を上げておいて、何がダメなのかわからないが、ダメなもんはダメなのだ。 嬉しいし気持ちいいし、ヒート中は色々な感情がごちゃ混ぜになる。 ふと、聞こえるのは自分の声ばかりで、廉さんの声が聴こえない事に気付き、思わず口を手のひらで押さえた。 「…っ、…」 「手はこっち」 その手は、いとも容易く恋人繋ぎに変わる。 身長差はそこまで無いのに、手は廉さんの方が少しだけ大きい。こうして手を繋いだ時に、包み込まれるような感じになるのが俺は大好きだ。 でも、声を抑えられないのは恥ずかしい。 しかも廉さんの声が聴こえない。 きゅっと唇を噛むと、咎めるように舌先が唇をなぞる。 「噛むな」 「ぁ…」 好きな声でそう言われると、ふるえる唇を、いとも容易く開けてしまった。 その僅かな隙間から器用に入り込んできた舌先に吸い付き、唾液を啜り嚥下する。 「…ん、んっぁ…」 いつの間にか、下半身にまとっていた服はベッドの端に追いやられ、剥き出しの性器はふたり分まとめて大きな手で扱かれていた。 「っぁ!でる…ぅ」 ぶるっと腰が震えて、腹筋に力が入る。 来る快感に備えたその時、 「ぁっ──!?」 するりと大きな手が下腹部に伸びてきて、自然に鈴口を押さえられた。 え、と瞼をあげると、こちらを見つめていた、黒い双眸と目が合った。 「久しぶりなのにイキすぎは辛いだろ?」 本気で心配したように言われて、目の前が真っ暗になる。 ついでに涙もじわじわ出てきて、喉がひくっと鳴った。 発情期中なのにイクの我慢とか、何の拷問だ。 こちとら我慢する方が辛い期間なんだよ。 「っん、やだあ…」 「やだじゃない」 腰をくねらすと、機嫌をとるように頬擦りされる。 そんな行動が可愛くてきゅんきゅんするけど、今は違う。早くイきたい。 ずっと我慢してたのに。 この4年間、しようと思ってする自慰はしていないし、ヒートもできるだけ薬で抑えてきた。 その反動からか、おかしいくらいに感じているのが自分でもわかった。 ハッ、ハッ、と犬のように息を吐き出すのが止まらず、熱くて熱くて仕方がない。 身体の中を熱がグルグルとかけめぐる。お腹の奥は準備万端なのに、中々埋められない寂しさに、自分の薄い腹を撫で、廉さんを見上げる。 「はやく、早く、ここまでっ、ン…」 いれて、と言いたかったのにそれは音にならなかった。 唇をちゅっと吸われたすぐ後に、ぴりっと袋を破る音が聞こえる。

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