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第2話

「やっぱり…雨降ってきたな。」 出てみると外はもうすっかり暗くなり、雨が降っていた。俺はコーヒーを買い喫煙所のベンチに腰掛けた。 「夏目ちゃん~お疲れ~。」 「あ、お疲れ様です。」 ぼんやりしていると、広瀬部長に声をかけられた。広瀬部長は取引先の部長だ。 「元気ないなぁ。疲れが溜まっているなら、今夜また行っちゃう?」 「あー。」 広瀬部長がにたりと笑う。俺は返答に困り言い淀んだ。キャバクラの誘いだ。毎度奢ってもらいおっぱいに囲まれるのは嬉しいが、今はおっぱいより休息が欲しい。 「今夜は遠慮します。また今度お供させて下さい。」 「えー!もー、ノリ悪いなぁ。」 広瀬部長はぶつくさ言いながらその場を去って行った。 それから数分、俺は依然としてぼんやりと喫煙所に座っていた。 「ん?」 不意に、喫煙所から僅かに見える建物の間から、雨音に混じって何か聞こえた気がした。ごんかな?俺は深く考えずそちらへ足を向けた。 ざーざーざー…。 雨音がうるさい。本降りになってしまったようだ。 「~~~!?」 何か、聞こえるが不明瞭だ。 「ど……?!」 声がしていた建物から顔を出し、俺は目の前の光景に息をのんだ。広瀬部長が倒れており、その横に座り込む人影が見える。 「う、うわっ…。」 俺が思わず小さな悲鳴を上げ尻餅をつくと、部長の横の人物が顔を上げた。暗がりで雨も降っており顔が見えない。しかし暗闇で光る真っ赤な双眼と目が合った。 「…っ!」 その瞬間、俺は脱兎の如くその場から走り出した。 「ぐわっ!」 しかし右肩に鋭い痛みを感じ、体がよろけた。痛みと恐怖に意識がぼやけ、目の前が暗くなる。 ————- 「…い。なつ…い。」 誰だろう。誰かに呼ばれている。でも瞼が重くて開けれそうにない。 「…ごめん…い…。ごめんなさい…。」 ごん?その声は何度も何度も悲痛な声で「ごめんなさい」と繰り返していた。そんな声、だすなよ…。 「なつ先輩!良かった!」 「…ごん。…あ、俺…なんだ?」 目をやっとの事で開けると、俺はゴンに膝枕をされ見慣れない部屋に居た。ごんの部屋か?頭がぼんやりとする。目の前のごんは涙目で顔面蒼白だ。 「先輩、少し天使の精を送りました。体どうです?」 え、天使?何? 「…あっ!」 俺は最後に見た光景を思い出し、ごんの膝の上で体をぴくりとさせた。本当は飛び起きたかった。しかし体が全く動かない。感覚はあるのに、動かない。 「え、体が動かない。てか、ごん!広瀬部長が…。」 「なつ先輩…、やっぱりまだ足りないのですね。…仕方ない。」 「へ?」 ごんは俺の話を無視していきなり俺をベッドの上へ運んだ。そして服を脱がせ始める。いやいやいや! 「え…ちょっと、何?」 「なつ先輩、大丈夫です。」 「え」 狼狽る俺に、ごんは子供を落ち着かせるように優しく言った。 「!」 そして、急に俺にキスをしてくる。あ、甘い?なにこの状況? 「ふふっ、やっぱり、なつ先輩の唇、柔らかい…。」 「っ」 そして唇を一度離したごんはどこかうっとりと、妖艶に笑った。 「大丈夫ですよ、なつ先輩。もっと…しっかり…ちゃんと…ずーっと、奥の深いところまで…沢山、あげますね…。」 そしてごんはどことなく高揚した面持ちで、半裸の俺に乗り上げてくる。俺はそんなごんに、頬をひくりと引きつらせた。こんな顔でのしかかられて…え?何する気? 「ひっ!…んっ!」 何が起こっとるん?ごんの顔が視界から消えたと思ったら、次に下半身に強烈な快感を感じた。なんとごんは俺にフェラをし始めた。俺はパニックになる。 「先輩、力抜いて…はぁ…。」 足元から熱に浮かされたようなごんの声がする。何故お前はそんなに興奮しているんだよ! 「つぅっ、~っ!」 やば。俺は頭のパニックが落ち着く間もなく吐精した。 「ふっ、なつ先輩、顔真っ赤。可愛い…。」 「…っ、ごん、本当に、やめろ。」 下からゴンがひょっこりと顔を出した。俺はそんなごんを睨む。悪ふざけが過ぎる。しかし、そんな俺を無視して、ごんは今度は俺の足を肩に抱えた。ごんの手が俺の後ろの穴をくりくりと刺激してくる。 「ご、ごん…ちょっ、本当…やめて。何か怒っているなら、謝るから…。」 俺は怯えを隠す事も出来ず、弱弱しくごんに懇願した。ごんは俺の声を聞き、手を止めてにっこりと俺に笑いかける。よかった。ごんも分って… 「なつ先輩、」 ごんが体勢を倒して、俺に顔を寄せてくる。 「あ…!」 しかしほっとしたのも束の間、ごんはまた俺にキスをした。さっきよりもねっとりとしており、されると頭の芯が熟れる。 「ふっ、…んっ!」 キスをされる事はびっくりだが、それ以上に自分にびっくりしていた。ごんのキスが甘い。甘くて甘くて、美味しくて止まらない。いつの間にか自分から必死になって強請るように舌を出していた。 「ふっ、大丈夫です。俺に全部任せて?」 唇を話すとごんは額を俺の額に付け、あやすように俺の頭を撫でた。そしてごんの骨ばった手が俺の穴に入り込んでくる。

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