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第16話

「ね?先輩…はっ、気持ちいい?」 「…ふっ、馬鹿、良いわけな…っ!あっ、んっ…これ…手、嫌だ…〜〜っ!」 俺はごんの下で攻め立てられていた。正常位。至ってノーマルな体位だが、今のこれはアブノーマルそのものだ。だって、俺は自分のものなんて握りしめたくないのに、ごんに操られ握りしめている。 痛い。出したい。でも出せない。 「ふふ、ちゃんと、ごめんなさい出来たら、その手を離す位は許可しても良いですよ?」 許可って何だよ! ごんは非人道的な事をやっている割に、おれの頭上に手をつき恋人に話す様に甘く囁く。 「馬鹿っ、…ふっ、あっぐっ、〜〜っ!…はぁっ、やめろっ…っ!」 「もう、強情だなぁ〜。はぁっ、まぁ、俺は気持ちいいから良いですけど?はぁ〜…気持ちいい。」 話している間も止まってくれないごんのせいで、俺はドライでいきまくる。地獄だ。気持ちよさそうに腰を動かし、キスをしてくるゴンが恨めしい。 「ふっ、先輩の可哀想。真っ赤っていうか…はぁっ、ちょっと赤黒くなっていますね。」 「あっ!ぐっ、〜〜〜っっ‼︎」 ごんは可哀想、可哀想、という口調の割に、相変わらずガツガツと律動は止めず笑顔で俺のものの先端を緩々と撫でる。唯でさえ辛いのに、亀頭を刺激され、俺は一際大きく震えた。 「あはっ、またイきました?今日はずっとドライですねっ!もう何回めかな?」 「ぐっ、やっ、〜〜っ!」 「あはは、でも先輩は俺の女の子だから、寧ろそうやってイッてる方が、っ、正しいってか。」 楽しそうに、ごんはしつこく先端を撫で回し、腰を動かす。 「そもそもかつ先輩が反抗的だし、俺から逃げようとするからこうなるんですよ?」 「〜〜〜〜っ!」 反抗的って…。 ごんの声に僅かな怒りが混じる。生理的な涙が流れそうになるが俺は寸のところで踏みとどまり、唇を噛んだ。 「はー、先輩の強いとこと好きだけど、時々苛々しちゃうんですよね…。」 好きならこんな事するな! 俺はもはやごんへの罵倒の声すら挙げられず、唯々喘ぐ。 「でもそろそろ限界かなぁ。鬱血が酷いですしね…。まぁ、おいおいですかね。楽しい事は、じっくり味わいたいですし。」 ごんは1度動きを止め、ぶつぶつ言いながら俺のものをまじまじとみる。居た堪れず、俺は目を閉じた。その瞬間だった。 「はっ⁉︎ひゅっ‼︎〜〜〜〜〜っっ!」 ぱっと俺の手が解かれる。見計った様にごんは先程よりも更に奥深くを突いた。溜め込んだ快楽は凄まじい。俺は過ぎる快楽に仰け反り絶頂する。しかしごんはそれを意に介さず、更にガツガツと責め立てた。 「あっ、やっ〜〜〜っ!ご、ん、…っ!やめっ‼︎イッてゆ、からっ‼︎あっ、〜〜〜っ‼︎とまっ、って〜っ!」 「うんうん。先輩が気持ち良いみたいで俺も嬉しいです。」 「あっ、〜〜〜っ!止まんなっっ‼︎ふっ、やめっ〜〜っ!」 ごんは笑顔だが、やる事がエグい。びくりびくりと異常なほど震える俺を押さえつけ、容赦なくガツガツと俺を突く。舌が、頭が、体が…、上手く、動かない。 ごんはいつも行為中はサディスティックだ。今夜はそれが輪をかけて酷かった。馬鹿げた話だが、ごん曰く「お仕置き」だからか? ーーーーーーーーーーーーーーーー 「なつ先輩、ごめんなさい!頭に血が上って、やり過ぎちゃった…かも…。」 行為が終わると、元のごんに戻るらしい。ピロートークなら最悪な部類だ。行為後、ベッドの上で放心する俺の横に正座をして、ごんは無いはずの耳を垂れ俺に謝る。 「でも、疲労感はないですよね?天使の精はたっぷり注ぎました!」 「…。」 何故か誇らし気にごんは言う。 そういう問題じゃないだろ!精神か何か、確実に削られる。しかしそれをごんに説明するのすら怠く、俺はごんを睨む。 「ごん、こんな事がしたくて俺を騙していたのか?俺を殺しかけて…。お前も口では好きとかなんとか言って、結局人間の事はペット感覚なんだな。お前も、鬼頭チーフと同じだ。」 「え?違いますよ!おれ、なつ先輩の事を愛しています!なつ先輩に何があっても、天使の精で癒せる自信があったから出来たんです!ていうか…、鬼頭チーフにも勝手に接触したんですか⁈危ないですよ!」 ごん俺の体を自分の方へコロリと転がした。脱力した俺はされるがまま、ごんの方を向く。 「鬼頭チーフは、本物の悪魔です。俺が堕天した時は色々お世話になりましたけど…、俺もちょっと、鬼頭チーフのレベルには及ばないと言うか…。兎に角、あの人は本当の本当に危ないので、もう近づかないで下さいっ!」 「…。」 ごんも俺からしたら同じレベルだとか、そもそもごんの口ぶりからは鬼頭チーフへの嫌悪感よりも尊敬の意の方が見え隠れするのが気にくわないとか、色々言いたい事はあったが、もう反論するのも怠い。 「しかもごん。佐倉を悪魔だとか、嘘までついたろ。にゃん吉も、あれはどういうことだ。」 「佐倉が悪魔だっていうのは、ほぼ合っているようなものです。佐倉は、理屈詰でしつこくて、悪魔よりたちが悪いです。」 佐倉への言い草はいつもにまして酷いな…。 「佐倉は、俺の双子の弟です。堕天してから改心しろと付き纏われまくりなのです。しかもあいつ無駄に情報通というか、何処に行っても直ぐに俺を見つけてしつこく講釈を垂れやがって…。」 ごんは苦々し気に言う。 なんだその情報。衝撃の事実すぎる。てか佐倉はただ、本当にごんの心配をしているのでは? 「なつ先輩の事も煩く言うから、にゃん吉を人質にして逆に利用してやったんです。あ、にゃん吉は元々は佐倉の猫です。まぁ、佐倉は対して使えなかったけど、公園でなつ先輩を軽く襲わせたりと、そこそこは役にたったかな。あの事件のお陰で、なつ先輩は俺にべったりになったし。」 べったりというか、あの事件後、勝手にごんが過保護を発動しただけだろ。 佐倉は兄のことを心配して、しかし猫が人質になるくらい猫大好きで…実は結構いい奴じゃないか? 対するごんは「でもにゃん吉は可愛い過ぎて、佐倉が逆らっても殺せそうになくて地味に困ってた〜。」とか笑っているし、全体的にやはり悪はごんだ。

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