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第6夜 第23話
その夜はなかなか寝付けずアルコールと好きな映画とを見て過ごした。
だけれどストーリーは頭には入ってこないで、空が白み始めるころ酔ったのか疲れたのかわからないまま気づけばソファーで寝てしまっていた。
そして目が覚めたのは昼にさしかかったころ。
ソファーで寝てしまったせいか身体がだるい。
気だるさを取り除くためにシャワーを浴びてから遅い昼食を取った。
外はよく晴れていて今日も暑そうだ。
まだ6時までは時間がある。
それまではあまりなにも考えたくなくてエアコンの効いた部屋で仕事をして過ごした。
パソコンと資料と、集中し仕事だけのことを考える。
クリアになっていく思考。
なんで―――仕事のように捺くんに向き合えないんだろう。
感情ばかりが先に立って、矛盾ばかりでまともに結論をだせやしない。
「……あ」
集中、してたはず。
だけど気づけばパソコンの画面には意味をなさない文字が羅列していて自己嫌悪に陥った。
時計を見れば仕事をはじめてから二時間は経っている。
時間が過ぎていけば、捺くんに会う時間が迫ってくるということだ。
会いたい。
けれど会ったら―――俺達はどうなるんだろう。
全部変わってしまう予感がする。
鬱鬱としたものを振り払うように首を振り、待ち合わせには早いけれど出かけることにした。
外で食事にしたのもこの部屋でふたりきりで会うのが怖かったからだ。
服を着替えマンションを出る。
外の日差しは予想通りきつく、暑さに目を細め行くあてもなかったからとりあえず駅に向かった。
変わってしまうかもしれない、そんな予想は。
予想ではなく現実にだと俺が知るのはまだ先のことだった。
***
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