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第53話
「そうだね―――。辛そうだし」
指先で硬い部分をなぞられてビクビク身体が震える。
じれったくて、身体の疼きが耐えきれなくって、またキスしようと手を伸ばした。
それより先に、ちゅ、と触れるだけのキスが落ちてきたかと思うとすぐ離れて行く。
「でも――ダーメ」
「……へ……」
「今夜はキスだけだよ」
「……な……んで」
やだ、って思うけど身体は脱力しきってて俺から動くことができない。
「今ヤったところで覚えてないだろうしね。それじゃあ意味ないし」
「……や……、シたい……っ」
手を動かして、とにかくしがみついた。
あやすように俺の頭が撫でられる。
「俺もシたいけど。酔ってる捺くんは淫らっぽいし、楽しそうだけど。でもやっぱり素面の捺くんをイジメたいしなぁ」
「……いま…がい……っ」
酒とキスのせいで身体中が熱い。
ダメというくせに頭を撫でているのとは別の手が、俺の肌をなぞってる。
俺はただ触って欲しくてすぐそばにある顔に触れ、髪に手を差し入れた。
「シた……ぁ……ん」
たぶん酔ってない俺が見たら愕然としてショック受けるくらいに駄々っ子のようにねだる俺にキスが落ちてくる。
「――しょうがないなぁ。じゃあ、少しだけ」
ずっとシてないみたいだから、1回だけイかせてあげるよ――。
そう声がして、頭がその言葉を理解するより先にズボンの中に手が滑りこんできた。
「……んっ」
「腰、浮かせられる?」
俺の息子に直に触れる手。
それだけで気持ちよくて、言われた言葉に素直に少し腰を上げた。
するりとズボンが脱がされて肌が空気にさらされる。
「……っ…ぁ」
そしてぬるっと俺の息子に指が滑って、ゆっくりと上下に動きだした。
一か月禁欲してた身体には刺激が強すぎて、先走りがダラダラ流れる。
「こんなに硬くして。そんなに気持いい?」
くちゅくちゅと先走りをまとわりつかせながらわざと水音が立てられる。
「……ん……っ……は……、きもち……いい」
「そう、よかったね?」
息子は扱かれたまま、床に寝かされ、すぐそばにあった体温がなくなる。
だけどすぐにのしかかってくる重み。
耳元で笑う声が響いて耳が生温かく包まれる。
耳孔に這うざらついた舌に、背筋がぞくっとして身体がのけぞった。
「っん、ぁ」
ぴちゃぴちゃと耳を犯されながら、息子は焦らすようにゆっくりと上下される。
「……捺くん」
「……な…に」
「ちゃんと覚えてるんだよ? カラダで。いま――捺を気持ちよくさせてるのは俺だってこと」
微かに低くなった甘い声。
「……おれ…?」
「"智紀"」
「ともき……ンっ」
今度は口を塞がれて、歯列をなぞられ舌を吸い上げられる。
もうすぐにでもイってしまいそうなくらいに気持ちよくて、無意識に腰を動かしてた。
「ほんとにかわいいね、捺は。もっと気持ちよくしてあげようか?」
笑いを含んだ誘うような声に、俺はバカみたいに首を振る。
身体から重みが退けて、そしてうっすら開けた焦点の合わない俺の目にぼんやりと映る頭が俺の身体のほうへ伏せて。
「……っひゃ……んっ、ああ!」
身体をかけぬける刺激。
いままで手で覆われてた息子が咥内に含まれる。
俺の咥内と耳孔を犯してた舌が先端をくすぐり棹を舐め上げる。
目まいがするくらいの快感に俺はびくびくと身体と、そして息子を痙攣させた。
「や、っ……ぁッ!!」
「捺? イくときは俺の名前を呼ぶんだよ?」
「ッン、……とも…き?」
「そう、お利口さんだね」
そしてまた生温かい咥内に誘い込まれ、舐めまわされる。
吸い上げられて扱かれて、あっという間に沸き上がってくる吐射感。
酔いまくってるせいであっけなく達しそうなのに制御できるはずもないから、俺はひたすら腰を浮かせて喘ぐ。
「……っ、も、むり……ッ」
首を振れば、さらにフェラは激しさを増しす。
「あっ、も、イく……ッ、ともき…ッ」
手と口で扱きあげられた息子はひときわ大きく膨張し脈動して――その咥内で爆ぜた。
「んっ……」
射精して解放感を味わいながら、まだ咥えられたままの息子が舐められる。
白濁を綺麗に舐め取っているらしい舌の動きにさえイったばかりの息子は反応して、硬さはそのまんまだった。
「――元気だね」
咥内から離された息子は唾液まみれだから外気に触れて少しひんやりした。
だけどすぐに笑いを混じらせた言葉とともに手で包まれる。
「気持ちよかった?」
「……う…ん……きもちいい」
「気持ちいいってまだ進行形?」
楽しそうな声がする。
だって俺の息子はまだ緩くだけど扱かれてて、それに――後孔を撫でる指があるから、まだ進行形で気持イイ。
「……ん……ぁ」
後孔を撫で続ける指は入り口に触れてるだけで中には入ってこない。
ムズムズして無意識に腰を動かしてしまう。
「なーつ」
「……なに…ン」
「腰動いてるよ。この先はお預けだよ」
「……おあず……け…?」
「そう」
そして唇が塞がれる。
お預けっていうくせに刺激を前と後ろに与え続けてくる手に身悶えた。
息子を愛撫していた舌が、今度は咥内をねっとりと這いまわる。
甘く舌を吸い上げられビクビクと身体が震えてしまってた。
「……――続きはまたね」
「……ヤ……」
「これ以上はダメ。ちゃんと続きは……」
続く言葉を耳元で囁いてくる声に浮遊しているような思考の中で、頷く。
――意味を理解してもないのに。
俺の前と後ろを弄っていた手は離れていって、あやすように俺の背中を撫で始めた。
一度は欲を吐きだしたから心地よい倦怠感のせいであっという間に俺はまぶたを上げることができなくなって。
だんだんと意識が遠のきだした。
そして――
「おやすみ、捺くん」
頭を撫でる手の暖かさを感じるのを最後に完全に俺は眠りに落ちてしまってた。
***
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