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番外編第2話
「あー……気持ちいい……」
リビングで結局2回ヤって、そのあと一緒に風呂に入った。
ちゃんとゴム使ってたからとくにナカから出す必要もなかったし、お互い洗いあいして今は湯船の中。
割と広めのバスタブに向き合って座って入っていた。
「疲れた?」
湯船に顔を半分しずめてたら優斗さんが俺の腰に触ってくる。
「大丈夫」
首を振るとそのまま腰に回った手が俺を引き寄せて優斗さんの脚の上に跨る形になった。
「そうだ、捺くん。クリスマスなんだけど」
俺達が付き合いだしたのは12月はじめのほう。それからもう二週間たってて、あと一週間もすれば冬休みとクリスマスが来る。
「どうする!?」
つい勢いづいて返事してしまった。
俺、イベント事って結構好きで気合はいっちゃうんだよな。
しかも優斗さんとは恋人になってはじめてのクリスマスだし、ついつい顔がにやける。
俺の勢いに優斗さんは少し苦笑して、どうしようか、って首を傾げた。
「えーっと、優斗さん仕事だよね? とりあえずそのあと待ち合わせて、定番だけどイルミネーション見て、そんで飲み行くか、帰ってメシ食う!」
「イルミネーションしかクリスマスっぽくないよ?」
「俺、ケーキと酒があればいい!」
あとプレゼント。
でもそれはやっぱその日の楽しみだしびっくりさせたいから言わないでおく。
「お酒は二十歳からのはずだけど?」
「……クリスマスだし?」
もう何回目だよ、って感じで上目遣いで言ってみる。
そんでまたまた優斗さんが苦笑して俺の頭を軽く叩いた。
「しょうがないな。あんまり飲みすぎたらダメだよ」
「わかった!」
大きく頷いて、お礼がわりにキス。
触れるだけ――のつもりが、やっぱり触れたらもっとってなって咥内で小さな水音がたつ。
それからちょっと、いやかなり湯船が揺れるようなことしてのぼせるくらい優斗さんと一緒にお風呂を堪能した。
そして――……。
「……キモっ!!」
「お前、あんまり優斗さんに迷惑かけんなよ」
「……」
次の日の朝。
優斗さんに車で学校まで送ってもらって、人目気にしながらだけどちょっとチューしたりして別れて。
早めについた学校にいたのは今日に限って早めに来てる俺の友達で。
「朝からラブラブね」
「昨日はゆーにーちゃんちに泊ったんだね」
「……」
どうやら俺が優斗さんの車から降りるのを見られていたらしい。
ちなみに最初、キモイとか失礼なことを言ったのは小学校から一緒の七香。
つぎに迷惑かけんなって言ったのは、いまでも実優ちゃんのことを好きなせいか優斗さんに迷惑をかけるなとしょっちゅう言ってくる和。
らぶらぶってにこにこしてんのが羽純ちゃんで、ゆーにーちゃんって呼んでるのが優斗さんの大事な姪っこで俺が前好きだった女の子実優ちゃん。
――そんな感じで友人紹介は終わる。
「あー、もうニヤニヤしてキモ!!!」
七香がまた言ってきて、「うっせぇ! カレシとケンカしたからって妬むな!!」って睨んだ。
七香には彼氏がいるけど最近ケンカしたらしく、俺と優斗さんのらぶらぶさにいちいち突っ込んでくる。
「妬みとかじゃないでしょ! アンタのその顔、鏡で見てみなよ! もーデッレデレ!!」
「確かに、いつも緩んでるよね。ナニ思い出してるのかなぁって思っちゃう」
羽純ちゃんまで……!
っつーか! ナニ思い出してって、なんか意味深な言い方しないでくれー!
教室の後のほうでたむろって俺達は話してた。
「思い出して笑っちゃうのってあるよね?」
さすが実優ちゃんは優斗さんの姪だけあってさりげないフォローが優しい。
「とにかく、お前は甘やかされてばっかいねーで、しゃきっとしろよ!」
「……うっせー! バカ和!!」
という具合に、俺は最近この四人組に優斗さん絡みでいろいろ言われることが多い。
ちなみに――ちょっと悩んだけど、四人には優斗さんと付き合っていることはカミングアウトした。
羽純ちゃんは文化祭のとき俺と優斗さんのこと怪しんでたし、実優ちゃんは優斗さんの姪だし、松原は知ってるから自然と話すことになって。
残りの二人は……腐れ縁な親友だから、やっぱ隠しておくことなんかできなかった。
みんなそれぞれ驚きはしたけど、ちゃんと認めてくれて今でも友人関係は変わらない。
不安だったからそれはすげぇありがたかった。
「なんでこんなエロ猿なんかがいいんだろう?」
「優斗さんならもっと素敵な人いるはずなのに」
「七香ちゃん、和くん。あばたもえくぼっていうでしょう?」
「な、捺くん可愛いし!」
「……」
羽純ちゃんフォローになってませんから。
実優ちゃん……ありがとう。
そんな感じで、ワイワイギャーギャーしながら5人で朝のHRまで過ごしてた。
うるさいし、七香や和はたまにむかつくけど、やっぱ一緒にいるのは楽しい。
たまーに優斗さんのことをノロケたりして、今日もいい一日になりそうだなーなんて、教室に入ってきた先生に慌てて席につきながら思って。
そんでクリスマスプレゼントなんにしようかな、ってニヤニヤしながら考えて。
幸せいっぱいだった俺に悪魔の足音が忍び寄っているなんて――夢にも思っていなかった。
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