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第2話(スティーブ)

自分は今まで、恋も愛も知らなかった。 唯一の肉親だと思っていた祖母も赤の他人だったのだから。 スティーブ・ワイルド。24歳。独身。恋人はこの24年間居たことは無い。 特務機関world Intelligence Agency。通称WIAのレベルSクラスのエージェントだ。 コードネームはワイルド。 チームブラックに所属。 で、結局仕事は何かって? 悪を倒すスーパーヒーロー。それが僕の仕事だ。 ヨハネスブルグでの大規模な武器取引の潜入捜査が終わり、久しぶりの休暇をどう過ごそうか考えていた。 ニューヨーク郊外にある自宅から、自分で改造した愛車のバイクDucati(ドゥカティ)ムルティストラーダ1200Sを走らせる。 眠れない日々が続く、極限状態の任務をこなしていると、ふと日常が恋しくなる時がある。 バイクに乗っている時は少しだけ仕事を忘れられた。 悪友でチームメイトのレッドからは、もう少し人生を楽しめって言われている。 彼に言わせれば僕は堅物の天然記念物らしい。 適当な場所を見つけてバイクを駐車する。 ふらりと当てもなく歩いていると、一軒の花屋が一際目を引いた。 何の変哲もないレンガ作りの古いビルの1階に色とりどりの花が飾られている。 不思議と吸い込まれる様に木枠のガラスドアを開けていた。 「いらっしゃい」 中にいた男性の店員が1人、振り向く。 僕はここで運命の出会いをする。

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