4 / 69
第4話(スティーブ)
朝起きて、まだ同じ気持ちだったらデートに誘うと決めた。
眠りにつく前に、寝室のガラス張りの天井から星空を眺めながら誓った。
勿論、防弾の超硬化ガラスだ。
なぜ、彼なんだと聞かれても、自分でも分からない。
あれから、任務が終わるたびにマイクの花屋へ通った。
数ヶ月に1回か2回程のペースだが、こんなにも一つの場所へ足を運んだのは初めてだ。
花の良い香り、穏やかな空間。他愛の無い会話。
今まで、感じた事の無い感情だった。
ゆっくりと、まるで雪が降り積もるように胸に何かが押し寄せた。
穏やかな感情と、彼に触れたいという胸を焦がすような相反する気持ち。
話したい。知りたい。見つめたい。触れたい。
彼が欲しい。
黒い瞳が印象的だ。
柔らかそうな茶黒の髪に触れてみたいと思った。
ともだちにシェアしよう!