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第7話(マイク)
ああ、時間が経つのが遅いと思っていたのに。
あっという間に閉店時間になった。
マイクは慌ててレジを閉めて金庫へ現金を移す。
店のロゴの付いたエプロンを脱ぎ、鞄を持って鏡の前に立つ。
今更だが、こんな格好で良いのか不安になって来た。使い古しのジーパンに白いコットンシャツというラフな格好のうえ、袖間口を葉っぱで汚してしまっている。
場所によってはドレスコードで引っかかるか?
「着替える時間あるかな?」
例えどんな格好をしても白バラの花言葉のように「私はあなたにふさわしい」とは思える気がしないが。幾ばくかはマシにならないだろうか?
食事はラフな格好で行ける所なのだろうか?
そんな事を考えながら、いつもより少し早目に店のガラス戸の鍵を閉めて、シャッターを下ろした。
19時の待ち合わせまで、まだ15分もある。
期待や緊張で、心臓が口から飛び出しそうだよ。
マイクは迎えに来ると言った彼を待つ。
だがこの日、マイクが店の前で2時間以上待っても彼が現れる事は無かった。
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