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第14話(スティーブ)

ワン分析官の姿が、ニューヨークのハドソン川近くのフォートリーにあるモーテルの監視カメラに映っていた。 スティーブ率いるチームブラックの4人は深夜のニューヨークをバイクで駆け抜けた。 ワン分析官が居ると思われる部屋番号は211号。 モーテルの名前はニュースカイ。 古びたオレンジの壁紙で3階建ての小さな宿泊施設だ。 部屋は2階の西側にある角部屋。 4人は建物のちょうど反対側にある東側の非常階段から侵入する。 二階へ上がり真っ直ぐ進むと211号だ。 上空からの偵察用超小型ドロイドからは熱反応は1人しか映っていない。 「夜が明ける前に片付けるぞ」   4人は211号のドアの前まで近付く。 先頭のワイルドは勢い良くドアを蹴り破った。 衝撃で吹き飛んだドアは壁に激突して大破する。 「WIAだ!!」 銃を向けた先のダブルベットにはワン捜査官が血を流し横たわっている。 ワイルドは3人へ周囲を警戒するよう合図を出す。 「ワン分析官を確認。負傷している。至急医療班を送ってくれ」 スティーブは本部へ通信が済むとワン分析官へ近づいた。 まだ微かに息がある。 「大丈夫か?」 ワン分析官はゆっくりと頷く。 左胸に銃槍があり、血が流れ続ける。 「つ、、妻と娘、、、殺すと脅された、、、 助け、っ」 スティーブはすぐに通信機で本部へ連絡した。 「ワン分析官の自宅へ至急aチームを急行させてくれ。彼の家族の安全確保を」 「了解!」 本部の通信オペレーターはすぐに、aチームの出動要請を出した。 「誰にやられた?USBと武器は今どこに?」 「ハリスコ、、、」 聞き覚えのある名前だ。 まさか、、、 「ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンか?」 「奴らはリカルド博士の娘のモニカを狙って、、いる」 「モニカを?!どういう事だ?」 ワン分析官はワイルドをグッと引き寄せた。 「WIAには、、、秘密ファイルが存在、、、裏切り者が、、誰も信じる、、、な」 ワイルドだけに聞こえる小さな声で絞り出すように言うとそのまま絶命した。 朝日がいつの間にかゆっくり登り始めていた。 ワン分析官の顔が照らされる。 「ワイルド、ワン分析官は何て?」 周囲を警戒していたダイヤモンドが近づく。 ワイルドは通信機をオンにして話す。 ダイヤモンドだけでなく、レッド•ファイヤーとアイスマンにも伝える為だ。 「ワン分析官を脅してUSBと武器を奪ったのはハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン。メキシコの麻薬カルテルだ。 2年前、リカルド•アスナール博士が研究していた新薬デウスを奪う為に研究所と自宅へ押し入った。 リカルド博士と妻は殺されたが、娘のモニカはニューヨークの福祉施設にいる。 奴らの標的はモニカだ」 「なぜ、麻薬カルテルが子供を?」 「今はまだ分からない」 そこへ、レッド•ファイヤーとアイスマンが戻る。 「建物はオールクリア。既に犯人は逃走している」 レッドの報告にワイルドは頷く。 「急ごう。モニカが危ない」

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