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第37話(マイク)
「あなたは裏口から逃げて。私が食止める」
ケイラは腰から銃を取り出して振り向きながら銃を構えた。
「ケイラ?!」
「私もWIAのエージェントなの。あなたを守るのが仕事よ」
「え?!」
理解が追いつかず固まるマイクにケイラが叫んだ。
「兎に角今は急いで裏口から逃げて!!」
ケイラに怒鳴られ、マイクは慌てて裏口へと走る。
ちょうど背後ではドアが乱暴に開く音と銃声がしていた。
振り返るとスキンヘッドに朝黒い肌、顔中にタトゥーのある双子がケイラに襲い掛かっていた。
2人とも右腕に大きなトカゲのタトゥーがある。
ケイラはそのタトゥーに見覚えがあった。WIAの資料で見たばかりだ。
「ハリスコの幹部、ヒル兄弟ね」
焦ったように呟いた。
バァンと銃声が鳴り響く。
既に銃撃戦になり至近距離での戦闘が始まった。
敵2人にケイラ1人だけ置いて逃げていいのか?!
マイクは躊躇う。
男として、ソレはダメだろう!
「邪魔だ!女を先に殺せ!」ヒル兄弟と呼ばれた双子はケイラに向けて銃を撃つ。
「マイク逃げて!!」
ケイラが叫んだ瞬間、敵は一瞬の隙を見逃さなかった。
双子は左右からまるでシンクロしたように同時にケイラを蹴りあげた。
勢いよくケイラが壁に弾き飛ばされる。
すぐに起き上がりケイラはレジカウンターの裏に身を隠しながら銃を構える。
ヒル兄弟の1人が銃をダガーナイフに持ち変えジリジリと距離を詰める。
バン、バン
ヒル兄弟は左右からカウンター内へ同時に飛びかかりケイラが右の男を撃つが、左から同時に切り付けられ首元をナイフが襲う。
ナイフをギリギリでかわしたケイラを、ヒル兄弟が同時に蹴り上げた。
吹き飛んだケイラは壁に激突し額から血が流れて動かなくなっている。
双子はマイクの方へ銃を向ける。
殺されたと思った瞬間だった。
もう、ダメかもしれない。
目を瞑り、身構えたその時、、、
入り口のドアが勢い良く開く音がした。
長い金髪と髭、黄色い瞳、肩幅や厚い胸板はスティーブ以上かもしれない背の高い男が入ってきた?
「死にたくなければ大人しくしろ」
「誰だ貴様!」
双子は振り返ると入り口に立つ男に銃を向ける。
「お前らに名乗る名前は無い」
男は勢いよく距離を詰めて銃を掴みながら手首を返し、銃口を上に向け、そのまま足を払うと双子の1人が背中と後頭部を強打しながら倒れ込む。
素早く銃を奪うと、身体を捻りながら立ち上がり、もう1人の双子の額に銃口を押し当てる。
一気に双子を制圧した。
「は、離せ!!」
「お前らはWIAに引き渡す。今日は殺さないでおくから黙ってろ!」
マイクが呆気にとられていると、倒れていたケイラが身体を起こした。
「エージェント•フォスター、、、なぜここに?」
「今はエージェントじゃない。それより、こいつらに電子手錠をかけろ」
「ok」
「おい!離せ!」
ケイラとフォスターは眼線を交わすと暴れた双子に強烈な一撃を加え、黙らせた。
「で、お前がワイルドの恋人か?」
足の先から頭の先まで舐めるように品定めされた。
「へぇ、、、
ワイルドに飽きたらいつでも俺が相手してやる」
大きな手で乱暴に顎を掴まれた。
混乱しているマイクが、キスされている事に気付いたのは3秒後だった。
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