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第43話(マイク)
「あの〜、エージェント•フォスター」
「俺は今、WIAのエージェントじゃない。ブライアンでいい」
「じゃあブライアン、、、スティーブの家に勝手に入って大丈夫なの?」
勝手知ったる他人の家。ブライアンは勝手に冷蔵庫からワインを持って来て飲み始めている。
マイクは10人掛けぐらいの大きなコの字型の皮張りのソファーの隅に座る。
「大丈夫、大丈夫。サラには了解とってる。
それよりお前、警戒し過ぎだろ」
マイクはブライアンから1番離れた場所に座っている。
そりゃ、出会い頭にいきなりキスされたら誰でも警戒するだろ。
「ブライアンはエージェントじゃないのに、何で俺を助けに来てくれたの?サラっていうさっきの女性は何者?スティーブとはどういう関係?」
「俺は別に助けに来たわけじゃない。別件で動いていたら、たまたま居合わせた。詳しい話は機密事項。
サラは、スティーブの祖母だったルビー元長官の相棒。アイツにとっては、育ての親みたいなもんだよ。サラも元々はエージェントだったが今は引退してる。定期的にここに来て、この家を管理してる」
「ブライアンはスティーブと親しいの?」
「昔、スティーブとは同じチームで動いていた事がある。それ以上でも以下でもない。
それよりマイク、酒に付き合え」
ワイングラスを押しつけられた。
正直、ここ数日は色々あり過ぎて飲みたい気分ではある。
今でも夢でも見てるんじゃ無いかって思うぐらいだ。
ずっと憧れていたスティーブの恋人になったり、襲撃に巻き込まれたり。
WIAの事も、スティーブの生い立ちも。
全部。
平凡な自分の世界が急激に荒波に飲み込まれて、自分じゃどうする事も出来無くて。
ただただ、溺れない様に踠いてる。
この普通じゃない状況に適応しようとしてみたけど、簡単じゃない。
ブライアンから受け取ったワインを一気に流し込んだ。
「いいねぇ、そう来なきゃ」
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