52 / 69

第52話(マイク)

男の俺でもピクリともしない。 力の差は歴然。 スティーブに掴まれた手首が痛む。 「スティーブ!待っ、、、!」 キスで口を塞がれる。 もう、溺れそう。 「あっ!!待って、話し、、、!」 スティーブの部屋の真ん中に鎮座するキングサイズのベッドで、激しく愛された。 多分、昨日も一昨日も、スティーブは手加減してくれていたんだと思う。 ジェルを使って解されたから痛みは無かったけど。 激しいピストンに家具がガタンと音を立て、ベッドは大きく軋んだ。 このままスティーブに抱き潰されるのかもって思ったけど、俺の身体は割と頑丈に出来てたみたいだ。 意識を飛ばす寸前に見たスティーブは、何故か俺より辛そうな顔をしていた。 「うっ、、、」 何時間経ったんだ? 身体を起こすと後処理もされて、服まで着せてくれている。 天井まである大きな窓ガラスには、まだ星空が輝いている。 何時かも分からなかったけど、まだ夜みたいだ。 隣で眠るスティーブを起こさないように、そっとベッドを抜け出し水を飲もうと思い一階に降りる。 「マイク、大丈夫か?」 一階のリビングにブライアンが居た。 「ん?大丈夫だよ??」 何の事? 「どこが大丈夫なんだよ。手首、痣になってるぞ」 「え?!」 気づかなかったけど、確かに両方の手首に痣が出来ていた。 「アイツ、手加減を知らないのか!壊しちまうぞ」 自分が耳まで赤くなっている自覚がある。 スティーブに抱かれていた事を指摘されたような気分だ。 ヤバイ、めちゃくちゃ恥ずかしい。 「俺ならお前を傷つけたりしない」  「大丈夫だよ、スティーブもオレを傷つけたりしない」 ブライアンという男は本当に不思議な男だ。 「大丈夫じゃないだろ!じゃあその痣は何なんだよ?! クソっ!!俺がスティーブを煽ったからだな!」 確かに、ブライアンとのキスにスティーブは激しく嫉妬していた。 「マイク、、、すまない」 突然、出会い頭にキスをしておいて、今度は俺の身体を心配したり、謝って来たり。 「ブライアンって本当に面白い男だね」 ブライアンは一瞬、驚いたような顔をした。 「マイク、お前また同じ事を言うんだな」 「え?また?そう言えば、前に会った事があるんだろ?教えてくれないのかよ?」 「言っただろ、お前が思い出すまでは教えない。それより本当に大丈夫か?」 「大丈夫だって、水飲んだら部屋に戻るよ。おやすみ」 「おやすみ」 ブライアンはゲストルームへ戻って行った。

ともだちにシェアしよう!