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第52話(マイク)
男の俺でもピクリともしない。
力の差は歴然。
スティーブに掴まれた手首が痛む。
「スティーブ!待っ、、、!」
キスで口を塞がれる。
もう、溺れそう。
「あっ!!待って、話し、、、!」
スティーブの部屋の真ん中に鎮座するキングサイズのベッドで、激しく愛された。
多分、昨日も一昨日も、スティーブは手加減してくれていたんだと思う。
ジェルを使って解されたから痛みは無かったけど。
激しいピストンに家具がガタンと音を立て、ベッドは大きく軋んだ。
このままスティーブに抱き潰されるのかもって思ったけど、俺の身体は割と頑丈に出来てたみたいだ。
意識を飛ばす寸前に見たスティーブは、何故か俺より辛そうな顔をしていた。
「うっ、、、」
何時間経ったんだ?
身体を起こすと後処理もされて、服まで着せてくれている。
天井まである大きな窓ガラスには、まだ星空が輝いている。
何時かも分からなかったけど、まだ夜みたいだ。
隣で眠るスティーブを起こさないように、そっとベッドを抜け出し水を飲もうと思い一階に降りる。
「マイク、大丈夫か?」
一階のリビングにブライアンが居た。
「ん?大丈夫だよ??」
何の事?
「どこが大丈夫なんだよ。手首、痣になってるぞ」
「え?!」
気づかなかったけど、確かに両方の手首に痣が出来ていた。
「アイツ、手加減を知らないのか!壊しちまうぞ」
自分が耳まで赤くなっている自覚がある。
スティーブに抱かれていた事を指摘されたような気分だ。
ヤバイ、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「俺ならお前を傷つけたりしない」
「大丈夫だよ、スティーブもオレを傷つけたりしない」
ブライアンという男は本当に不思議な男だ。
「大丈夫じゃないだろ!じゃあその痣は何なんだよ?!
クソっ!!俺がスティーブを煽ったからだな!」
確かに、ブライアンとのキスにスティーブは激しく嫉妬していた。
「マイク、、、すまない」
突然、出会い頭にキスをしておいて、今度は俺の身体を心配したり、謝って来たり。
「ブライアンって本当に面白い男だね」
ブライアンは一瞬、驚いたような顔をした。
「マイク、お前また同じ事を言うんだな」
「え?また?そう言えば、前に会った事があるんだろ?教えてくれないのかよ?」
「言っただろ、お前が思い出すまでは教えない。それより本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって、水飲んだら部屋に戻るよ。おやすみ」
「おやすみ」
ブライアンはゲストルームへ戻って行った。
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