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第67話(スティーブ)

ジェットはメキシコ湾を通過し、ジョージア州上空を飛行中に緊急通信が入った。 「ギャレットが逃走した」 相手はブライアンだった。 ギャレットはレベル5の元凄腕エージェントだが、ブライアンも同じくレベル5の元エージェントだ。 「どういう事だ?ずっと追跡していた相手だろ?」 「ああ、だが逃げられたんだよ。予想外の展開になったんだ」 「どういう事だ?」 「ルビーだよ」 「え?!」 「ルビーが現れたんだよ、ギャレットの救出に」 「まさか、、、そんな、、、」 「ルビーは複数の傭兵を引き連れ、ギャレットを救出してヘリで逃走した」 スティーブは絶句する。 「この事は、スミス長官にもエージェント•ハワードにも伝えていない。WIAの援護チームもルビーを直接見ていない。 この事を知っているのはオレだけだ。だからお前に最初に報告した」 「ありがとう、、、ルビーが何のためにギャレットを救出したのか詳しい事が判明するまでは誰にも言うな」 「ああ、もうしばらく長官命令でギャレットを追うから、ルビーの情報が入ればまた連絡する」 「ありがとう」 元WIA長官にして、僕の祖母でもあるエージェント•ルビー。 彼女は、僕を殺さず育てる事で大きな規則違反を犯してしまった。 7年前。彼女はWIAに長官の任を解かれ拘束されワシントン本部に投獄されていた。 ルビーは自分の身の危険を以前から感じていたのだろう。投獄される前に全ての財産、不動産を僕の名義へ変更した。 そして投獄された2年後に消息不明になっていたのだ。 移送されたのか、それとも脱走しているのか。 ルビーの現在はスティーブには不明だった。  何度、長官に確認しても機密情報のレベルに阻まれて、ルビーの居場所が掴めていないのだ。 「なんでルビーがギャレットを、、、」 あなたは、今、どこにいるんですか? お婆様。

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