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わるい竜7

 時折、弱々しい力で微かに抵抗らしきことをするニンゲンに、やはり赤子だったようだなと竜は独りごちながら、なおも陰茎を舐め続けました。 ――もしもこのニンゲンを放っておいたらどんなことになるだろう。  陰茎をに刺激を与えながら、竜は考えます。  体を見ると、髪の毛以外の体毛はほぼないと言えましょう。一応陰部に毛は生えてはいますが、こんな申し訳程度のパヤ毛など、生えていないも同然です。  これでは朝晩の冷え込む時間帯は凍えてしまうでしょう。雪の降る極寒の冬を越せるとは到底思えません。  またこの体では、狩りをすることだって無理に決まっています。逆に狩られて食べられるのがオチ。それに第一ニンゲンは、火を通さなければ肉を食べられないというではありませんか。  どんな動物でも成獣であれば、どんなに小さくとも森で生きぬく力を持っています。  それがこのニンゲンときたら力はないし、動きはどんくさいし、火を用意することすらできません。何が起こってもただ鳴くばかり。  これが成獣であるわけがない……ニンゲンのことをよく知らない竜はそう結論付けたのです。 ――こんな状態で俺が離れたら、すぐに食われて死ぬな。  肉食動物たちにとって、足が遅く碌な抵抗をしないニンゲン共は、最高のご馳走です。  周囲にいる獣たちも今はこの小さなニンゲンに手を出していませんが、竜の庇護が外れた途端に襲い掛かることでしょう。  今だって欲望にギラつく目で、チラチラとニンゲンを見ているくらいなのですから。 ――これは俺がずっと側に付いていてやらねばなるまい。  庇護欲全開の竜ですが、なぜ自分がこんなにもニンゲンに執着しているのか、このときはまだその理由に全く気付いてはいませんでした。  何はともあれ今は排泄です。 ――そう言えば排泄は尿だけではなかったな。  竜自身は排泄行為を行いませんが、森の獣の多くが(ふん)をすることは知っていました。  ということはこのニンゲンだってきっと、糞をする習性を持っているはず。  竜は肛門に向けて、割れた舌の片方を器用に伸ばします。 「ひぃっ!!」  小さな悲鳴が聞こえましたが、竜は構わず続けました。  これはお前のためなんだ。糞が出るまで辛抱してくれ……そんな思いで一心不乱に舐め続けますが、ニンゲンは尿も糞も出しません。 ――おかしいな。  さすがに時間がかかりすぎていることに気付いた竜は、次第に焦れ始めました。  悠久の時を生きる竜も、さすがに子育て経験はありません。もしかしたらやり方が間違えているのでは……とうっすら不安が()ぎります。  ですがもう、後には引けません。  このままだとニンゲンは排泄できないまま病気になって、最悪死んでしまうかもしれないのです。  詳しいやり方は後で狼か梟の翁に聞くことにして、今はこのまま舐め続けて排泄を促そうと決意し、最終手段に訴えることにしました。  ニンゲンの尿道と肛門に舌先を入れ、さらなる刺激を与えるのです。 「あぁぁっ!!」  ニンゲンは陸に上がった鮭のように腰をビクンビクンと跳ねらせました。  これほど刺激を与えているのですから、排泄も時間の問題……竜のラストスパートが始まります。  尿道はあまりに小さすぎて舌を潜り込ませることはできませんから、鈴口の辺りを丹念に舐めて刺激してやります。  肛門は鈴口よりは大きいものの、やはり体に見合った小ささで、しかも硬く閉ざされています。けれど唾液をたっぷり垂らして少しずつ挿入すれば、なんとか入り込む余地はありそうです。  グチュリと音を立ながら、舌先が少しずつ肛門の奥に侵入していきます。 「いやぁぁっ、やめてくんろぉ……」  ニンゲンが涙ながらに訴えます。  あまりの悲痛さに、思わず舌を止めようかとも思った竜ですが、内腿の辺りがピクピクと痙攣しているのを見て思い止まりました。  この調子で攻め続ければ、必ずやニンゲンは排泄する。そんな予感が竜を奮い立たせます。  徐々に肛門の奥へと進みゆく竜の舌。  そのとき。 ――んっ?  唐突に、しこりのような硬いものが舌に触りました。  なんだ、これは? 突然現れた異物を確認するため、そこを何度かググッと押すと……。 「んああぁぁぁぁぁっ!!」  絶叫と共に、鈴口からプシャァと液体が吹き出しました。  尿……のわりには随分白っぽいような気がしましたが、ニンゲンの尿とはきっとこのようなものだろうと考え直します。 ――それにしても、なんだ、これは。  舌先に広がる蜜のような味。ニンゲンの体から仄かに匂っていた薫香が、さらにブワリと広がります。  脳味噌が蕩けるような極上の甘露に、竜は目を瞠りました。  ニンゲンの尿とはこのような味がするのか……と、ただただ驚くばかり。  意外な旨みの虜になった竜は、ニンゲンが意識を朦朧させていることにも気付かず、最後の一滴まで夢中になって舐め続けたのでした。

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