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第五章~新しい人生(とき)を刻んで
今、吉沢 加陽都 と、華夜 (元聖夜 )は、特別支援学校で念願の小学校に通わせてもらっている。
千巻 が、加陽都 の母親に、あの日のビラから連絡をし、彼らの夢を叶えるため、手助けをしてもらったのである。彼女が、しあわせそうな息子のために身を引こうとしたことはわかっていたが、やはり、良心が痛み、ひとりじめはできそうになかったのである。
聖夜は、研究所から帰ってくると、兄のことを、ステキな名前なのに呼ばれないのはもったいない気がすると、本名で呼ぶようになった。
その代わり、憧れだった、兄の名前をほしいと変更を望んだのである。
漢字は明るい字へと変更した。
家は、千巻の部屋と、実家と両方を日常の生活訓練や思い出作りもかねて、今のところは一週間一人ずつに分けて交互に暮らしている。
聖夜の体はまだ、口も含めて筋肉を動かして慣らしていかないとスムーズに動かせないところもあるので、しばらくはリハビリも必要そうだ。
世の中に出て、ちゃんと働けるようになった時、加陽都 は、ユミコとの人生も前向きに考えているところだ。それは、千巻にも伝えてある。
★
――日曜日。
久しぶりに千巻の部屋に二人がそろった。
今日は、三人でスルメキスをしようという話になっている。
千巻は、そっと加陽都 と、華夜 の唇に口づけをした。
そして、袋から、カットされている干しスルメイカをニ枚取り出すと、二人に口で挟んでもらった。
交互に口の中へスルメを行き来させながら、器用にキスを繰り返す千巻だったが、
「うーん、やっぱり一人を待たせちゃうの申し訳ないなあ」
「では、これはどうでしょう」
加陽都 は、千巻の耳元へ口を近づけると、
「イカ、イカァ、イカの貴公子さまぁっ!」
と、あえぎながら言うのである。
「何それえ! 誰が面白いことを言えと......?」
「でも、ありだよねえ。空いている部位を狙えば良いってことだもんね」
「では、続きをしましょうか、千巻さん」
「一体何が起こるやら......」
華夜 は、千巻のズボンのベルトを後ろからそっと外し、シャツの中に手を入れると、乳首をやさしく撫でた。
加陽都 と、スルメを交換しながら、千巻の体がビクッと跳ねる。
「くすぐったあい」
華夜 は、そのまま後ろからパンツに手を入れて、彼の大きくなりつつあるペニスをそっと指に絡めた。
「あん。ってダメだわあ。三人プレイって予想外に集中できなあいっ!」
さすがの千巻でもお手上げだった。
「あははは。ぼくもね、後ろからするの大変だったよ」
「千巻さん、反応しまくるので、僕も一緒に反応しそうになりました」
「ふふふ、だめだな、これは」
加陽都 は、昔のように自分のことを「僕」と言うようになったので、華夜 は、千巻がわかりやすいように「ぼく」を使うようになった。
★
次は、バナナで舌だけを使い、ペニスの形を作ることになった。上手に作れるかを競い合うだけの予定だったのだが......。
三人とも、途中で折れてしまい、それぞれの局部へ落ちて地味に痛い思いをした。
加陽都 は、特に丁寧に作っていたのもあり、何だか悔しくなり、千巻のズボンと下着を取ると、彼の局部全体にそのバナナを塗り込んで、中心をペロペロと舐め始めた。
「待って、ぼくもやりたい」
華夜 も持っていたバナナを下から塗り込んで、袋側をぺロペロと舐め始める。
同時に二本の舌から刺激される快感は予想以上のものだったので、千巻は、立っているのがやっとだった。
亀頭の周りにバナナを塗り直して、バナナを舐めながら、亀頭をおいしそうにすする姿に、千巻はものすごく興奮してきたので、もう分身はお腹にピッタとくっつくくらい、ほぼまっすぐな勃ち上がりを見せている。
そのちょうど裏筋にもバナナを塗り込み、舌を這わせてゆっくりとゆっくりと舌が這い上がってくる動きに、千巻の甘い吐息が荒くなっていった。
「あふゅ、あん、気持ち良すぎるう、ひゃあんっ」
袋も、舌の温かみが心地良くて、快楽的な気持ち良さとは別のうれしさでいっぱいになっていた。
「千巻さあんっ。千巻さんのバナナ食べたいですぅ」
「ちょっ、意味深すぎるからあっんああん!」
加陽都 は、華夜 に場所を開けてもらうと、バナナを食べるように、千巻の硬いバナナを持つと口の中の舌を動かしながら、高速で扱いていく――。
「あーふあーふ、イク、イキそうっ! あああっ!」
千巻の精液を全て飲んでもなお扱く動きをとめないでいると、潮吹きを始めたので、華夜 が交代して飲みにきた。
「ちょっとお、俺はジュースサーバーかっ。は、はずかしい~っ。止まらない~っ」
意識とは別にシャーシャー飛び出す恥ずかしさに、千巻はぐったりとソファーに倒れ込んだ。
「苦いのに何でそんなにおいしそうに飲むのよお」
「だって、バナナの味もあるから、おいしくて。ねー」
「です、ねー」
無邪気に、笑い合う二人にすっかり搾り取られた千巻はもう、出すものがない、しおしお状態だった。
★
「じゃあ、外に出かけようか?」
「やったあ、お散歩だあ♪」
街に着くと、千巻がそっと聞いてきた。
「アルバイトをして、お給料をもらうとしたら、君たちは何に使う?」
「ぼくは、マリコ姫のお洋服を買いに行きたいなあ。それで、実家のお母さんと、ユミコ所長さんと、兄さん、千巻さんみんなでペアルック着たいかも」
「僕は、お母さんと、千巻さんと、ユミコちゃんと、華夜とみんなで温泉旅行に行きたいので、貯金ですかね」
「二人とも、やさしいなあ。ありがとうねえ」
近々、千巻は、二人に執筆側の協力をしてくれていることへのアルバイトのお給料を渡そうと考えているのである――。
「さあ、着いたわよお。しっかり食べるよおっ」
「うわああ! こんなに大きなのを食べて良いの?」
「ふふ。三人ならではでしょう?」
「すごいです......!」
千巻たちが歓声を上げているのは、大玉のスイカはありそうな巨大なサイズの、色とりどりのフルーツと生クリームが上に載っている、搾りたてミカンジュースのかき氷である。
――予想はしていたものの、フルーツの時点でお腹いっぱいにすぐになり、完食できたのは三時間後だった。
「頭、キーンってする~」
「何事もほど良くが良いのかもしれませんね......」
「うん、欲張り過ぎたら、ダメね~」
★
最後は映画をレンタルショップで借りて、持って帰って来た。
リビングルームに、ゾンビの叫び声と、二人の悲鳴が響き渡る。
千巻の両腕にヒシッとしがみつく可愛い二人の姿は、そこにはなく、冷静な顔の加陽都 の、シャツと、ベルトを外したズボンに顔をつっこんで震えている千巻と、華夜 の姿があった――。
「何でしょうね、これは」
★
おやつに、ポップコーンを三人で作ることになった。
温めたフライパンに、油を引いて、ポップコーン原料豆を綺麗に並べて、後は蓋をして、コーンがはぜるのを待つだけだ。
加陽都 は、綺麗に並べるところを手伝い、華夜 は蓋をするところを手伝った。
ポンッと聞こえたら、ポプコンッと、次ぐ次にはぜていく――。
ポポンッ! ポン! ポプ、ポプコンッ!
「何だか、心がウキウキするねえ」
ポン! ポン! ポン! ポプポプポプ! ポプコンコンコン......!
ポン! ポン! ポン! ポプポプポプ! ポプコンコンコン......!
How are you doing♪ I'm fine♪
Pop music popcorn♪ Hopping jump popcorn♪
Pop stars are top stars♪
ポプポプポプ!
ポプコンコンコン......!
ポプコン!
華夜 が音に合わせて踊り出したのか、華夜の動きに合わせて音が鳴っているのかわからなくなってきた。
フライパンいっぱいにできあがって、ポップコーンの香ばしい香りがキッチン一帯に広がっていく――。
わさび醤油をかけて、食べることにした。
食べながら、時々千巻の唇へ、そっと運ぶと、犬のようにぱくぱく食べてくれるのが面白くて、二人で千巻に餌付けをした。
「ちょっと、入れすぎ~」
ぱくぱくから、あっぷあっぷし出したので、落ち着くのを待ってまた再開した――。
二人はとても気に入ったようだった。
★
――泡風呂へ三人で入ることになった。
浴槽の泡の中に入ると、全身もこもこになり、羊になったような気分になった。
千巻は、泡の中で試しに二人の竿を同時に扱いてみた。
「ひゃあ、急には恥ずかしいですぅ!」
「じゃあ、もっと恥ずかしいことしない?」
「え?」
千巻に何をしたら良いのか耳元で囁かれて、千巻は顔を赤らめた。
「じゃあイクよ~」
「羊が一匹~っ」
「羊が二匹~っ、ああう」
「ひっ、羊が三匹~っ、ひゃう」
千巻の提案で、扱く度に羊を数えるながら、あえぎ声にどのくらい耐えられるかというしょうもない遊びをしているところである。
百匹を数える頃にはほぼあえぎ声だけしか聞こえなかった。
「いやあ、耳に心地良いわあ~」
「あふう 」
その後は、竿同士をこすり合わせて、泡で詳しく見えないことを良いことに、交代で激しく抱き合い、余っている一人は後ろから腰にこすり合わせてなるべく同時に気持ち良いを目指した。
★
「うん、あえて考えてやると、三Pっていうのは、結構難しいものがあるよねえ」
「そうなんですよね」
「結論だね」
「後、やるとしたら、明日、病院のお見舞いに行くぐらいかな?」
幸いにも加陽都 を虐待していた誘拐犯の女性は、脳震盪 を起こしていただけで、一命を取りとめたようだ。
男性器を切り取られた愛人も逃げ出したところを保護されて、今は精神科に入院しているようだった――。
新しい人生を歩んでみて、心に赦 しの余裕が加陽都 と華夜 に出てきたことが大きかった。
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