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3.『クリスマス』
クリスマス当日。
あれからはるとは、殆ど会話してない。
というより、俺が一方的にはるを避け続けてる。
はるが、一番幸せな道を。
自分にとって正解だって思えるような道を、難なく選択できるように。
俺があのまま告白したら、きっとはるは戸惑って困って……
2つの告白を、どう対処したらいいのか悩むだろう。
もしかしたら、はるも俺のことを好きだって言ってくれるかもしれないけど……
それでもはるの負担になるようなことはしたくなくて…困らせたくなくて。
だからせめて、はるが告白の返事をするクリスマスまでは会わないって自分の中で決めて……
…………本当にそれでいいのか?
はるのことが大好きで、どこにもいってほしくなくて。
そう思ってるのに、このままただ後退するだけでいいのか?
ーそんなわけない。
大好きな人が遠くに行ってしまうのが、嬉しいわけがない。
本当は、ずっと一緒にいたい……っ
そんな矛盾する気持ちが自分の中にあった。
はると会わないように、気持ちを抑えるために俺の家族とはるの家族がそろって行うクリスマスパーティーも体調が良くないと言って断った。
はるが家に来て会うことがないように、特に何も持たずに寒い外に出た。
駅も、お店も、浮ついたクリスマスの景色で溢れかえってて。
みんな、どこか嬉しそうに笑顔で歩いてて。
俯いてる人なんて、全然いなくて…
はるが、告白を断っていますように
そんな最低な願いが頭の中から消えてくれない。
「……っ、寒い…」
はるが、横にいてくれたら
「…はる………っ」
それだけで、俺は幸せなのに。
告白なんて、考えない方が良かったのかな……
今のままでも、幼馴染みとしてはるの隣にいられるし
このまま…ずっと変わらない関係で
幼馴染みのままで………いいような気がして…
ポケットにしまったままの携帯の電源を入れると、大量の通知が届く。
「……?」
一つ一つ開いてみると、それは全てはるからの電話やメールだった。
今どこにいるのか、財布も持たずにどうしてるのか、寒いから早く帰ってきて……
避けていたことを咎めるどころか、俺を心配するような内容に抱いていた感情がぽろぽろ涙となって零れ落ちる。
「…っ、はるっ、……」
俺、わがままだ…
はるを困らせるのだけは、絶対いやなのに…それでも好きの気持ちが溢れて止まってくれない。
「…--唯っ!!!」
「……!」
ぱっと目の前に現れるその人こそ、俺が探し求めていた人。
そして、大好きで堪らない…そんな幼馴染のやつ。
クリスマスのイルミネーションに反射するはるが、きらきらしていて眩しかった。
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