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02 恋心(1) ~リュウジ~
どうして親友のアオイとこんな事になったのか……。
少し長い話になるが、出会いから話した方がいいだろう。
アオイは、綺麗な顔立ちで優しい雰囲気を持つ、髪の毛サラサラ男子。
つぶらな瞳。色白の肌。
小柄だけど運動神経抜群で、俺といい勝負。
ちなみに俺は、運動以外は特に取り柄は無いが、それはアオイも同じ事。
名乗り遅れたが俺の名前は、リュウジ。
アオイと同じ市内の公立高校である美映留 高校に通う1年生。
俺の方は割と大柄。
中学時代は運動部だったから、そこそこ体はできている。
とは言っても、現役の高校生には敵うべくもなく、高校でもしっかりと体を鍛えようと思っているところだ。
そんな俺とアオイが仲良くなった切っ掛けは、高校入学当初にさかのぼる。
最初のクラスで前後の席になった俺達は、さっそく自己紹介をしたのだが、いきなりSNS動画投稿サイトの話で盛り上がった。
その投稿者、いわゆるユーチューバーだが、同じグループのファンであることが判明したのだ。
それを切っ掛けに、スポーツ、音楽、ゲームやアニメなど共通のネタ探しは膨らんでいった。
で、すっかり意気投合した俺達は、いつの間にか名前で呼び合う仲になっていたわけだ。
毎日のように、ユーチューバーの話で花を咲かせる。
「リュウジ、昨日の『やってみた』見た?」
「見た見た。すげぇよな。アオイもやってみろよ」
「できるかよ! アホ! あはは」
休み時間も、下校の時も、アオイとつるんで冗談を言い合う。
アオイといると楽しくてつい時間を忘れてしまうのだ。
そんな楽しい毎日だが、ずっと続くかと言うと、学校というのはそう甘くない。
試験があるのだ。
その日は、中間試験を数日後に控え、いよいよ勉強しないとまずい雰囲気になっていた。
俺は頭を抱えながら、「だめだ、ちっとも頭に入らねぇ」と嘆いていた。
そこへアオイが、「よし、うちで一緒に勉強しないか?」と、提案してくれたのだ。
しかしながら、アオイも俺と同じように勉強は苦手ときている。
「アオイさ……勉強が出来ない同士じゃダメだろ?」
「ははは。良いんだよ、リュウジ。お前が出来ないのを見て、オレは安心したいんだよ」
「何だそりゃ!」
「あはは」
勉強の効率はともかくとして、楽しく勉強ができそうだ。
ということで、オレはアオイの誘いをありがたく受けることにしたのだ。
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