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第15話 パーティ

 呼び方が志水から咲に変わったこと以外何も変わらず、何も分からないままゆっくりと時間だけが過ぎて行く。 「咲、このあとの予定はどうなってる?」 「このあと十八時からRホテルにてⅯ社社長の自叙伝の出版パーティの予定が入っています」 「あ」  すっかり忘れてた。 「めんどくさい。ただでさえパーティとか苦手なのに、自叙伝の記念パーティなんて余計にだるい」  しかしM社は大事な取引先だ。  出ないわけにはいかないし、行ったら勿論自叙伝を渡されるから、一応は目を通さなければいけない。  鬱陶しいことこの上ない。  俺は溜息をつきながら視線を窓の外に投じた。  今年の梅雨はまだ明けてないらしく、ここ数日はずっと雨続きだ。  咲の運転する車で行くので別に雨だろうが関係ないのだが、やはりこう何日もお日さまを見ていないと気が滅入るのも確かである。 「社長、雨だと道が混みますので、そろそろ出た方がよろしいかと」 「分かってる」  咲の促しに、俺は不承不承立ち上がった。

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