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第24話 キス、そして3

 フローリングの床に咲の体を押し倒し、一分のすきもなく整えられたスーツを乱暴に乱す。  ネクタイをはぎ取り、シャツのボタンをもどかしく外して行くと、やがて露わになる咲の綺麗な肌。  しかし、その透き通るような美しさは咲の儚さをより強調して、俺を不安にさせた。  何かに急かされるかのように咲の体にむしゃぶりつく。  唇を重ね、どちらの唾液か分からなくなるまで舌を絡め合い、ねっとりと糸が引くまでキスを堪能する。  そのまま唇を咲の耳の後ろからほっそりと長い首筋へと這わせ、時々強く吸い上げて跡を残して行く。 「……っあ……」  薄い胸板にある小さく淡い色をした突起を舌で舐め上げたとき、咲は頭をのけ反らせて甘い声を上げ、綺麗な顔を切なげに歪める。 「咲……もっと声、聞かせて……顔、見せて?」  初めて知る咲の感じてる声や表情は、ひどく扇情的で、もっともっと知りたい。 「やめてください……社長……」  なのに、咲は喘ぎ声を抑えつけ、両手で顔を隠してしまう。  頑なな咲に焦れた俺は、彼の下腹部でしっかりと主張しているそれをスーツのズボン越しに包み込んだ。 「あっ……やめ……」  途端に咲の声が跳ね上がる。 「咲……好きだよ……」  片思いの切なさを胸に俺は咲に囁く。  こうして抱き合っていても、多分咲の心は俺のものじゃない。  パーティ会場で見た、俺よりもずっとずっと咲のことを知っているだろう男の顔が浮かんだ。  どうすることもできない嫉妬の感情をぶつけるように、俺は咲が下半身にまとっているもの全てを剥ぎ取り、直に彼の勃起に触れた。 「ひ……ぁっ……」  形のいい唇から零れ落ちる悦楽の声は俺の欲望をとてつもなく煽る。 「咲……」  右手を筒状にして勃起を擦り上げてやると、咲はあっという間にイッてしまった。

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