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第27話 変わらない咲

 防音に長けた部屋の中では雨音は聞こえなかったが、窓に叩きつける滴がいまだ降りやまぬ雨模様を教えてくれている。  男二人で眠っても狭さを感じさせないベッドで、俺と咲は横たわってた。 強めにきかせたエアコンが交わりのあとの火照った体に心地よい。  咲はついさっきまでの乱れようが嘘みたいに、今は無表情で俺の胸元に顔を埋めている。 「寒くない? 咲」 「平気です……ありがとうございます」  作り笑顔もまた復活して、彼の綺麗な顔に貼り付いている。  一度くらい体を繋いだからといって、簡単に心まで許してくれるとは思ってはいなかったが、あまりにも咲の様子が以前と変わらないので、少し落ち込んでしまう。  気づかれないようにこっそりと溜息をつき、腕の中の咲を見下ろすと、いつの間にか眠ってしまったのか、まぶたを閉じてじっとしている。  まつ毛長いな。  鼻の高さも唇の形も完璧だし、肌も髪も綺麗な上、顔もちっちゃい。  普段はあまりじろじろ見れないので、俺はここぞとばかりに咲の顔立ちを堪能させてもらった。  でも一番惹きつけられるのは、やはりその大きな瞳だろうか。  深く澄んだその瞳は、無表情ゆえに冷たく感じる美貌をほんの少し緩和し、より咲を魅力的に見せている。

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