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第41話 花言葉
「咲、知ってるか? 白のアジサイの花言葉は寛容、ピンクのアジサイの花言葉は元気な女性、だってこと」
「社長……」
「アジサイは紫だけじゃないから。咲、おまえがあの男といるときに見たっていう紫色のアジサイの光景なんて忘れちまえよ。今、俺と見ている白とピンクのアジサイで記憶を塗り替えて」
「……社長……」
咲が俺のTシャツの裾をつかみ、小さな頭をもたせかけて来た。
「ありがとうございます……」
「どういたしまして」
俺は咲を腕の中に抱きしめた。
咲は腕の中で窓の外に広がる白とピンクのアジサイを見つめる。
咲、もっと見て。
おまえを苦しめるあの男との思い出の紫色の花なんて忘れて、今、俺と一緒に見ているこの光景だけを心に刻んで……。
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