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第50話 凌辱の後

   どれくらいの間、そんな時間が続いただろうか。  健志郎さんが息を詰めたかと思うと、俺の体の奥深くで射精した。  熱い液体を体内に注ぎ込まれ、不快さを感じている自分がいて。  そんな自分が不思議だった。  だって俺はずっとずっとこの人のことが好きで、裏切られたあとも好きで、忘れられなくて。  もう傍にいてはいけないと自分自身を律してからは笑うことがしんどくなって、いつしか表情さえ失くして。  それほどに俺はこの人に恋をしていたのに。  今は違う。  今はもう――――。  俺の上で荒い呼吸を繰り返す健志郎さん。  でも俺の呼吸は少しも乱れてなくて。  健志郎さんとのセックスは俺に一欠けらの昂揚ももたらさなかった。  早くシャワーが浴びたい……。  冷めた頭でただそんなことを考えていた。  そのとき、部屋にインターホンの音が鳴り響いた。

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