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第54話 上書きされる恋心

「あっ……ああ、やっ……和希さん……」 「咲……好きだ……咲……」 「っあ……や……あ……深い……」  たまらない気持ちよさに、イッたばかりだというのにまた限界が近づいて来る。  でももう一人でイクのは嫌で。 「和希さ……和希さんも……一緒、に……」  俺は社長の腰に絡ませた自分の脚に力を込めた。 「咲……」  熱い吐息を漏らし、社長が俺の体を激しく揺さぶる。 「あっ……あ、あ……」  降り注ぐシャワーの雨の音が耳から消え、俺はそのまま高みへと昇り詰めていき、同時に社長が俺の体内で熱い精液を放ってくれた。  あの人に触れられたところも、体の奥深くに注がれたものも、俺の過去さえも社長によって上書きされていく。  紫色のアジサイが白とピンクのアジサイに塗り変えられたように――――。  

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