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第63話 紫色の呪縛3
いかにもいいところのお嬢様という雰囲気の女性とその両親と思われる年配の男女、社長の会社へ乗り込んで来た叔父とその奥さんと思われる女性、それに社長のご両親。
……和希さんのお見合いの席。
なぜ俺が社長のお見合いの席に連れて来られたのか。
俺の中で健志郎さんが最後に捨てて行った言葉がまた蘇り、目を閉じると一面の紫のアジサイの花。
もしかして社長はこの場で俺に別れを告げる気なのだろうか。
「……和希さん……」
「おまえ、何かとんでもない勘違いしてないか、咲。そんな不安そうな顔して」
「え……?」
「和希、どこへ行ってたんだ? 遅いじゃないか……それに隣にいるのはおまえの秘書じゃないか。どうしてこんな席に秘書を連れて来る必要がある?」
社長の叔父が苛立ちも露わにし、俺の方を怪訝そうに見ながら社長に問いただしている。
俺のことをよく見知っている彼のご両親は、父親はただただ驚いたような顔をしてこちらを見ていて、母親は最初こそ少し驚いていたが、俺と目が合うとにっこりと笑った。
見合い相手の女性とその両親はポカンとしている。
そして社長はそのテーブルにいる全ての人間にとんでもないことを言ってのけた。
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