13 / 15

【モモタロス】

「ココに、置いて貰っても良い?」 そんなウラからの申し出を断る理由なんか、俺には何1つ無かった。 「家事全般やってくれるならな」 それでも意地っ張りな俺は、素直に『嬉しい』なんて簡単な言葉すら、うまく言えずに居る。 「喜んで♪」 そう言って笑う、素直で正直なウラの笑顔が眩しかった。 そうやって一緒に暮らし始めてから数ヶ月が経過していた。 会社とプライベートでの立場が真逆なせいか、常に新鮮で、毎日が充実している。 ウラが俺にメロメロなのも丸分かりで、あんなに冷たく淋しいと思っていた部屋が、いつの間にか一番落ち着く場所へと変わっていた。 「お前、くっつきすぎ。」 ちょっと冷たく言っても 「しょうがないじゃない。モモが引力を発してんだから」 なんて意味不明な事を言いながらも、全く堪えていないウラの無神経さ(?)も、楽で心地よかった。 こうやって抱き付かれたり、キスされるのにも今ではすっかり慣れた。 「熱っ苦しい‥‥」 「ん?火照って来ちゃった?」 「バ!!違!!」 なんてイチャイチャしてついでにHに突入したりして。 こんな、意地っ張りで我儘で頑固な俺なんかに、必至になるウラが可愛いくて可愛くて。もぅ好き過ぎてどうしようもない。 そんな大事な事をきちんと伝えられない俺でゴメン。 もしかしたら俺、自分で思うよりももっとずっと、悪魔かもしんねぇ。 頭の隅でそんな事を思いながら、ウラの腕の中に沈んで行った。

ともだちにシェアしよう!