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第7話

にこにこと笑顔で恐ろしい事をいう殿村に、俺は頬をひくりと引きつらせた。 「碧くん、丁度良くパンツだけだしさ、ほら、慰めえっち的な。」 「えぇ⁈…あっ」 殿村がかがみ込み、急に俺の乳首を緩く噛んだ。痛くはないが、恐怖に俺はびくりと震える。 「それに、他の奴に先にやられたらしゃくだし。」 「だ、大丈夫だって!」 「なんで?そう言い切れないでしょ?」 「…で、でも…」 「大丈夫だよ。ちゃんとじっくり時間をかけて解かして、ゆっくり挿入して、気持ちよくしてあげるからさ。それで立派な俺専属の雌にしてあげるから。」 「そんな…。」 恐ろしい計画をニコニコと述べて、殿村は俺の胸や唇を再び舐める。俺は呆然自失で言葉を失う。 そんなの、嫌すぎる…。どうしよう…なんて言えば…。 「ね、ねぇ、楓くん、俺…俺…」 「何?碧くん。」 「童貞なんだ!」 「!…そっ、………本当?」 「本当!も…勿論、男とした事もなくて、俺は未だ真っ新な体なんだ!」 「まっ…まっさら…。」 俺の苦し紛れの言い訳に、殿村は何故かごくりと生唾を飲み込む。 俺に当たる殿村のものは大きく反応している。 因みに、全部嘘だ。男とした事はないけど、女とはある。 「…そうなんだ、それなら…びっくりさせちゃったかな?」 「うん。ごめん、経験が浅くて。というか皆無で…初心でごめんね、楓くん。」 「うぶ…」 「うん。初心なんだ…俺。」 「…。」 ごくり おい、何度生唾飲むんだ、変態。 「だから、初体験がこんな急だと、ちょっと怖いな。もう少し、仲を深めて、落ち着いてからやり直そう?」 「…うん。分かったよ。急に清い碧くんを驚かせてごめんね。じゃあ、もっと仲を深めて…そうだね、1ヶ月後あたりにしよっか!」 「うん!…………うん?」 え?今、なんて? 勢いで頷いた後、俺は殿村の言葉を頭の中で反芻した。 『そうだね、一ヶ月後あたりにしよっか!』 あれ、おかしい…いや、おかしいだろ! 「ちょっ、楓くん、こういうのって、いつって決めてするものじゃないでしょ?その場の流れとかさ、雰囲気とかさ、色々あるでしょ?」 「でも、流れ的に今だけど、今は怖いんでしょ?それなら、いつって決めた方が心の準備期間あっていいよね?」 言い訳ない。詭弁だ!あと、流れ的に今でも何でもない! 「そ…そもそも、俺たち健全な友達…」 「大丈夫!1ヶ月後には恋人になるから!」 「え、なんで?」 「ふふ、えっちするからだよ。」 「いやいや、言ってる事おかしくない?」 「碧くん、さっきのはイエローカードだからね。」 「は?」 なんだ?基本的に恐ろしい事しか言わないが、殿村はまた急ににこにこと続けた。 「イエローカード2枚でレッドカード。即、犯すからね。」 「…え?」 お、犯すって…そんな綺麗な顔してなんて言葉を…。犯罪。 そもそも、俺、ある意味被害者だったはずなのに…なんで? いや、もっというと、そもそも… 「ふ、普通、イエローカード3枚でしょ?」 「あはは、俺がどこまで耐えれるかにもよるからね?」 「そ、そんな…」 「あと、嘘ついたら、犯す。」 「え?」 「それに、さっきのが嘘で、本当は既に誰かとセックスなんてしていたら、監禁する。」 「えぇ⁈」 「監禁して、犯す。ずっと、永遠に、エンドレスで犯すから。」 「何それ⁈犯罪‼︎そんな事出来るの⁈」 「出来るかどうやじゃなくて、やるんだよ。」 俺の悲鳴に殿村は綺麗な顔で微笑んで答え、ちゅっとキスをした。 「だから、嘘はだめなんだよ?」 「……。」 甘く囁く殿村に、俺は再び茫然となった。 俺…、既に経験あるんだが…。バレる事はないだろうけど、バレたら…いや、そんな事無理だよな? 「か、楓くん、あのさ…」 「なに?自己申告?」 「…あ」 今言った方が、傷は浅いのか…? なんか、許してもらえそうな優しい雰囲気で殿村は相槌を打った。 「それなら、俺、碧くんのパンツ姿で勃っちゃったから、丁度いいよ。」 「何でもないです。」 「なんだ〜。」

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