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第8話

ソファから落ちた足が震える。 恐怖からではない。 期待、でだ。 「…っ、……ぁ、」 ローテーブルの上から畳んであるタオルを取ると、それで腕をぎゅっと拘束された。 カーディガンの上からなので痕は付かないだろうが、そういう問題ではない。 「え…、正宗さん…」 腕を動かしてみるがほどけそうもない。 拘束するタオルを見てから長岡を見上げる。 「これ……」 「痛いか?」 「…痛く、ないです…けど…」 「興奮する?」 「っ!!」 色っぽく視線を流されドッドッと心臓が痛い位に鼓動を打つ。 「遥登、こういうの好きだしな。 ココもさっきより押し上げてんじゃねぇか」 伸びてきた手がタオルごと腕を頭上に押し付け、また1枚写真を撮った。 慌てて顔を反らしたが隠しきれてないだろう。 恥ずかしい顔をカメラに収められたと考えるだけで身体中がアツい。 キツく目を瞑ってそれに堪えていると、不意に長岡が動いた。 恐る恐る目を開けると、スマホをソファに置き乱れた髪を掻き上げていた。 ネクタイを緩めスーツの前ボタンを寛げただけの長岡は色っぽいなんて言葉じゃ足りない位に、男の色気を駄々漏れにさせている。 にっと弧を描く唇は意地悪さが滲み出ているのに、だからこそ格好良くて。 「目も隠したらどうなんだろうな」 「目は…正宗さん………」 長岡が見えないのは不安だと頭を何度も振る。 例え、見えなくともこの手に触れられれば長岡だと分かるだろう。 でも、顔を見たい。 長岡の顔を見ながらが良い。 それを止めさせる様に冷たい手が頬を撫でた。 「しねぇよ。 俺見えねぇと嫌なんだろ。 ほんと、すっげかわい」 下がっていく指が身体を真っ直ぐになぞっていく。 カーディガン越しなのに擽ったくて身を捩った。 …擽ったさの中に、性的な快感を拾ったからだ。 ベルトできちんと納められたワイシャツをズラすと、長岡は器用に片手でボタンを外しはじめた。 1つ、また1つ外されていく。 「…ッ……」 いやらしくてたまらない。 いつもと同じ部屋なのに異常に興奮する。

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