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第12話
よろよろと力の入らない足で1歩、また1歩と歩く。
腹が痛い。
ぎゅるる…と嫌な音をたてている。
その音は長岡にも聴こえているだろ。
だが、急いではくれないし、急がれても着いて行けるか自信がない。
恨めしく見上げた頭は時々こちらの様子を見ている。
その優しさがあるなら、せめてもう少し早くトイレへと行く許可を出して欲しかった。
……なんて、足を舐めるのを止められなかったのは自分の方だ。
長岡に頭を触れられても舐めるのを止めなかった。
撫でられれば更に舐め、頭を引き剥がされるまでずっと隷属に服していた。
されるがまま艶笑みを浮かべていたあたり長岡も満更ではなかったのだろう。
根っからのサディストだ。
「ほら、トイレ」
やっとの思いでトイレに到着したが、個室に長岡までが入ってきて限界間近の三条は押し返す事も出来ず腹を抑え便意に耐えるしか出来ない。
だが、元々ギリギリまで我慢させられてから浴室を出たのでもう我慢出来る時間は僅かだ。
「みな、い…ください…」
涙を滲ませながら懇願しても許してもらえない。
座る事すら出来ずに突っ立っていると肩をぐっと押され便器に座らされる。
座ると慣れた一連の行為に頭がストッパーを外しそうになる。
「流せねぇし、前で縛られてちゃケツも拭けねぇだろ。
俺がしてやる」
「……できる…でき、ます……でるから…、ぁ」
もう……
薄い腹を擦られぞくぞくと背中を震わせる。
触れられると我慢が出来なくなる。
長岡に触れられて気持ち良いと身体が喜ぶ。
や、ば……い……
「だ……て、も…いい……、…ごめ、な……ぃ……あ…っ」
許可を得るなんて出来なかった。
もう、限界は越えていたんだから。
堰を切った様に吐き出される汚物と水に、微かに快感が混じっていた。
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