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第36話
しっかりと冷ましながらゆっくりと食べ進める三条の隣で、長岡はアルコールではなく烏龍茶に手を伸ばし栓を切る。
正宗さんもお茶なのか
飲めば良いのに
上下する喉仏が落ち着いてから話し掛けた。
「正宗さんって、俺の前でアルコールを口にしませんよね」
「ん?
そうか?」
「電話してる時ならありますけど、直接見た事はないです」
いまだプルタブの寝転んでいる缶をじっと見詰めた。
長岡はうどんを噛み締めながらそうか?と首を傾げる。
長岡は自分と食事をする時はアルコールを飲まない。
自宅まで送って貰っているのであまり自分から口にするのもどうかと思うが、電話越しに飲んでいる音を聴いていたが直接見たことはない。
いや、外泊日にも見た覚えがない。
「そうだったか…?
まぁ、遥登になんかあった時の事を考えちまうのはあるけど、最終的に飲まねぇって決めてるのは俺だし気にすんな。
飲みたきゃ遠慮なく飲ませてもらう」
ドキッとする発言に胸がきゅぅっと締め付けられる。
三条が気負わない言葉選びもそうだがとにかく優しい。
セックスの時はあんなにサディストなのに、性根はとても優しい人だ。
きゅんっとときめく三条を他所に、長岡はにっと笑って更に言葉を続けた。
「なんせ今日は宿泊だしな」
更に心臓がドキドキと早く動く。
…正宗さん、顔の良さ全然理解してない
えっちだ…
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