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第41話

「痒いとこねぇか?」 「はい。 気持ち良いです」 かけ湯もそこそこに湯船に隠れようとした三条は恋人に引き止められ、風呂椅子に座ってシャンプーをうけていた。 恥ずかしそうにしている三条とは違い、カレーうどんと共に受け取ったシャンプーでわしゃわしゃと洗う様はさながら大型犬のシャンプーのようだと長岡はご機嫌。 恥ずかしいだけで気持ち良いのは本心。 大きな手が心地よい力加減で頭皮を揉んでいく。 これがまた気持ち良い。 そもそも人に身体を触れられるのはあまり好きではなかった。 細くて骨張っていて、触れられると気持ち悪いと思われているのではないかと心配になるからだ。 だけど、長岡は自分にそんな嘘は吐かない。 だから素直にいられる。 それに、長岡に触れられるとそれを超すしあわせな気持ちが溢れてくる。 触れられたいとさえ思う。 そう言ったら、長岡はどんな顔をするのだろうか。 笑ってくれると良いな 笑った顔が1番似合ってる そんな事も知らず鏡に映る長岡は楽しそうに洗ってくれている。 本当に自分を甘やかしてくれる人だ。 大きな手で、うなじや耳の後ろ、揉み上げまでしっかりと洗われていった。 言葉通り至れる尽くせり。 されるがままの三条も満更ではない。 「シャワーかけんぞ」 一通り洗浄が済むとそれを洗い流す為、あたたかなシャワーがかけられる。 目を瞑り、濯ぎ残しがない様にしっかりと洗浄をうけた。 額生え際や耳の後ろまでしっかりと指が触れる。 こういう細かな所に性格が出る。 丁寧にだけどしっかりと洗い流す手の優しさもきちんと伝わってきていた。 シャワーが止められ、ぺたんと潰れた髪が顔に張り付き同時に顔に垂れてくる水を払う。 そして、何気なくみたソコに驚いた。 う、わ…透けてる… 湯を浴びた事で、股間を隠すタオルが身体に張り付いていた。 しかも、毛がないので恥丘にもぺたりとくっ付いている。 ぴったりと肌の色を透かしそうなそれに羞恥心の高い三条は頬がアツくなった。 こっそりと腕でソコを隠す。 いくら何度も見られていると言っても恥ずかしい物は恥ずかしい。 それに、見えそうで見えないのはえっちぃ。 「うし、次な」 だが、長岡は特にソレを指摘する事もなくコンディショナーまでしっかり施していく。 さりげなく隠した腕もそのままでだ。 もしかして、これは気を使われているのだろうか。 うんうんと悩んでいる間に2度目のシャワー洗浄を受け隅々まで艶々になっていた。 「はい、終わり」 「ありがとうございます」 俺にするより自分にした方が絶対に良いのに ほんと、自分の顔の良さを理解してないよな… 勿体ない 「冷えるから先に浸かってな」 「あ…俺も、洗いたい……です」 「俺の身体か?」 「髪も、です」 じっと見詰めていると肩が冷えないように湯を進められるが次は自分が恋人を楽しむ…じゃなかった洗う番。 言われると思ってもみなかった言葉に長岡は少し驚いた顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り微笑んだ。 「良いのか? じゃあ、頼む」

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