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第60話

口から出ていった指が糸をひいて恥ずかしい。 興奮すると口腔内の水分が減ると本で読んだがあれは本当なのだろうか。 ……この現状を見れば本当っぽいか。 「あ…まっ、さ……」 そんな事より顔が直接見られないのが寂しい。 折角隣にいるのに。 それに、腕をついているのがキツい。 揺すぶられる身体は無意識に踏ん張ってしまっているのか、全身に力が入っているようだ。 「ま、さ………さっ…、みたい……」 「あ? 見てんだろ」 「ちょくっ、せつっ、」 ねちっこく腰を回され、はくはくと浅い呼吸を繰り返す。 その合間合間に言葉を吐くのだが長岡はわざと腰を止めたり突き入れたり意地の悪い事をしてくる。 「まさ、……え、…ひ…ぅッ」 腕を掬われ背面座位。 この体位は殆んどした事がなく、又、液晶には自分の裸体が大きく写し出されていた。 痩せ細った身体、乳首、勃起した陰茎も淫らな表情を浮かべる顔も。 結合部が陰ってはっきり見えないのが唯一の救いだ。 「もう少しだけ楽しもうぜ。 後でうんと甘やかしてやるから」 「お、く…がっ」 自身の体重で奥の弁が刺激される。 これはまずいかもしれない。 カリが嵌まってしまう。 慣れたといっても、内臓への刺激はまだ慣れきれていない。 そう頭のどこかでは思うのに腰が下がっていく。 満腹とは言えずとも、先程食事を済ませたばかりだ。 内臓を刺激され過ぎてはキツい。 頭は理性が優勢なのに身体が本能に従う。 だ、め…… はまる……はま…… 「は、まっ! ぐ……ぅ、」 「嵌まったな……やべ、きもち…」 くぅ…と情けない声を漏らしながら背中を丸め身体を貫く刺激を逃がしていく。 ふーふーっと威嚇する猫みたいに数度息を吐き出してやっと呼吸が出来る程だ。 「…ぃ゙ッ」 必死に力を逃していたその時、ガリッと肩を噛まれた。 痛い。 肩が痛いが動けば腹も苦しい。 下っ腹に力を入れる事も出来ずに悶えるだけ。 「ま、………」 それでも、もっと長岡のモノが欲しくて後頭部を長岡に強請る様に擦り付けた。 幾房かが額に貼り付き、それを逃れた髪がサラサラと零れる。 情けなくも泣きそうな顔で見上げた恋人の顔はとてもサディスティックでゾクリと快感が走った。 綺麗で蠱惑的で、それでいて人間くさい。 作り物みたいなのに人間らしくて、そんな長岡を1人占めしているのが嬉しい。 「ここにぶっかけて良いか」 「ほし…っ、ぃ……ぁっ、はげし…アっ、あ……まさ…」 ガクガク揺れる身体は長岡に寄り掛かる事で自立が出来ている。 そんな不安定な身体を執拗に揺すぶられ三条は嬉しそうな顔をしていた。

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