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第78話

「お待たせ。 烏龍茶で良いか」 「ありがとう。 あ、蓬ちゃん」 「着いてきたのかよ。 ほんと遥登好きだな」 ドアを開け長岡の足元から黒い猫がととっと此方へやって来た。 またも脚に頭を擦り付けてマーキングしている。 「悪いな。 後でコロコロ貸すから」 「気にしなくて良いよ。 こんな可愛い子に好かれて嬉しいって。 ね、蓬ちゃん」 頭を撫でるとゴロゴロと喉を鳴らした。 素直な愛情表現がとても可愛らしい。 途中のコンビニで購入したお菓子も開けてダラダラとゲームをする。 コースを選ぶ隙にキスをされたり、首のにおいを嗅がれたり、恋人同士の触れ合いも同様に。 だが、次第にキスの時間が長くなっていく。 部屋を満たす空気は恋人同士の甘いもの。 もう隠す必要はない。 ちゅ 「いー顔」 「はず、かし…」 「俺で感じてる顔してる。 すっげぇ好き」 繰り返されるキスに固くしていた身体から力が抜けていく。 気持ちが良い。 すごくしあわせだ。 三条からも、はむっと唇を噛めば長岡は嬉しそうに目を細めた。 「積極的じゃん」 「たまには…するよ……」 「いつもも好きだけど、そういうのもすげぇ好き」

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