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第82話
ちゅっと軽い音を経てながら鎖骨に吸い付かれた。
髪が喉の皮膚に触れ擽ったいより、気持ち良いの方が勝つ。
触れられて嬉しい。
愛されて嬉しい。
だけど、ふと気が付いた。
「ちょっ、見えるところは…っ。
明後日体育あるだろ…」
「着替えん時は俺が壁になる。
こんな良いもん、他の奴に見せんの勿体ねぇだろ」
「…っ!」
恥ずかしい台詞も、この綺麗な顔で言われるととても格好良く、サマになるから狡い。
抵抗がなくなると今度はそこを舐めてくる。
体温の低い長岡にしては高い温度の口内。
その舌がぬるぬると動くのが気持ち良い。
たまらず甘い息を吐き出せば、また吸われた。
「も、恥ずかしいから…」
「恥ずかしい事してんだし、もっと恥ずかしがれよ。
その顔興奮すっし」
「う、あ…っ」
長岡が見える場所に痕を残さない事なんて分かっている。
それでも恥ずかしいんだ。
だって、本当に同級生かと思うくらい端整な顔立ちの恋人が自分に発情してくれているのが分かって恥ずかしい。
その間も股間を撫でる手は止まらず、どんどん血液が溜まっていく。
大きな手が気持ち良くて此処が長岡の家だなんて忘れそう。
「あ…、っ」
「声だけ少し我慢してくれ。
蓬が気付いてまた来るぞ」
「なら、手加…げ……、ん゛」
スラックスを太股まで下ろされ勃ちかけたソコが隠せなくなる。
慌てて手に触れれば、にっこりと笑顔が返される。
「全部は脱がせねぇから安心しろ。
つか、着衣プレイも燃えるだろ」
「……っ」
「あー、でも、遥登なら半裸も好きか。
えろいの好きだもんな」
甘い言葉にゾクリと肌が粟立つ。
半裸も着衣も長岡とだから好きなだけだ。
そういう性癖ではない。
……多分。
こんなの、溶ける……
「俺は、遥登とならなんでも好き」
こういう時だけ自分の顔の良さを利用する。
狡い。
狡い。
「…………俺も……正宗となら…なんでも、好き」
腕で顔を隠した三条に長岡は満足そうな顔をした。
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