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第95話

「照れてんのかよ」 耳縁に吐息が触れ、ビクッと跳ねた。 「まだジャグジーも楽しんでねぇのに、もう真っ赤。 かわい」 「ちが....っ、痩せすぎてる、から.......。 気持ち悪い...」 所謂普通の痩せ型とは異なる身体。 骨が浮いた細い手足も、胴体も、気持ちが悪い。 人に堂々巡りと見せる事の出来る身体ではない。 「俺は好き」 手首を捕まれ上へと掲げられる。 そして、晒される二の腕に長岡の舌が這った。 「っ!!」 「この腕も、腹も、脚も、すげぇ好き。 しかも、皮膚のやらわけぇところはキスマもつきやすいしな。 ほら、簡単につく」 「そんなとこ...っ、ん、」 「ここも好き」 普段他人に触れられることのない箇所を舐めら れ、三条が平気でいられる訳がない。 顔どころか舐められている箇所まで真っ赤になっている。 「ここも」 「…っ」 「遥登の全部が好き」 噛まれるよりずっとやわらかな刺激なのに、一々 反応してしまう。 そんな初ではない。 数え切れないほどセックスをした。 なのに、長岡に触れられると身体が反応してしま う。 喜んでいるのを伝えてしまう。 舌先で辿るように舐められ、はくっと息を吸っ た。 媚びた声が出てしまう。 こんな狭い空間では響く。 そんなの……..、そこで漸くこの部屋へと訪れた目的 を思い出した。

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