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「こっちも洗って消毒しといた方がいいですよねぇ……あーやりたくない、何が楽しくて男の尻なんて触んなきゃいけないんですか」  物凄く気は進まないが仕方ない。太い両脚を開かせ、股間に弱めたシャワーを浴びせると小さく呻き声が上がる。しかしやっぱり抵抗はない。  内太股の傷口を綺麗に洗い流したら、いよいよだ。俺は意を決して尻たぶの隙間に指を割り込ませる。  厚い筋肉で覆われた尻は予想外に柔らかかった。そして、指に伝うぬるりとした液体。 「うわっ!?何だこれ、まさか中出ししてそのまんま……?変態の上にマナーもなってないとか最悪ですね……」  顔も知らない変態野郎に悪態を吐きながら、嫌悪感に身震いする。先に中もシャワーで洗った方がいいだろうか。苛立ち任せに指を引き抜く。と、爪で内壁を引っ掻いてしまった。 「ふぁあ゛っ♡」 「っ」  風呂場に響いた声に驚いて、中途半端なところで手が止まった。埋まったままの指先が肉の輪にきゅっと締めつけられる。まるで抜くなと追いすがってくるみたいだ。そして、女の喘ぎとは違う、けれど甘ったるくて神経を撫で回すような声。恐る恐る見ると、男のチョコレート色の肌がぼんやり上気している。赤く色付いた唇がはくはく動いて、熱っぽい息と共に、またあの甘い声を零して。薄く開いた目からは潤んだ三日月が覗く。 (ああ、まただ)  男を拾った時と同じ衝動が体の中を暴れ回る。欲しい。頭にかっと血が上り、全身を熱が駆け巡っている。自分の心臓が煩く鳴っているのに気付いて、俺は唇を噛んだ。落ち着け、落ち着け――取り敢えず、手当だけは終わらせないと。  なるべく男の方を見ないように顔ごと視線を逸らし、俺は再び指をゆっくり沈めていく。内側は驚くほど熱くて柔らかい。 「んぁ…ァ、うう゛…」 「あーあー聞こえない、何も聞こえないですよー」 「ひァっ♡ア、ぁ、うぁあ゛」 「いやー今日は静かだなァ!」  必死で自分に言い聞かせながら、中の残滓を掻き出すべく指を鉤に曲げて動かす。ぬるつく粘液は後から後から溢れてきた。随分多い……というか、中に溜まっている感じじゃない。粘膜を濡らす分泌液。女の愛液に近いような―― 「っ」  一度そう思ってしまえばもうダメだった。甘ったるい声に重なる水音がよけいに卑猥に聞こえてくる。思考を逸らそうとしても上手くいかず、気付けば犬みたいに鼻息が荒くなって、ああくそ、何で俺はこんなので興奮してるんだ。 「ァあ゛あッ♡」  中が締まってごぽりと粘液が溢れてくる。俺はもうこれが中出しされた残滓なんかじゃないと確信していた。女の膣みたいに濡らして、意識もないまま感じてヨがってる。傷だらけのご立派な逸物だって勃起し始めてるじゃないか。 「ァ…ウ゛ぅ、んん…♡」 「はは……なんだこれ、意味わかんねェ」  自嘲しながらも指を動かすのを止められない。手当ての目的なんて頭から飛んでいた。ついさっきまで触るのも嫌だったのに、何だこのザマは。  濡れそぼった穴に指をもう一本捩じ込んで、ぐぱっと中を拡げてみる。赤く充血した粘膜がひくつく様に喉が鳴った。生々しい肉の色。腹側を探ってしこりを擦ってやると声が一段高くなる。人間かどうかすら分からない相手だが、前立腺を刺激されるのは効くらしい。爪の先でかりかり引っ掻けばひいひい鳴いて、まるで楽器みたいで面白い。頭の上の兎耳も忙しなく震えている。 「ここ、思いっ切り押したらどうなるんでしょ」  軽く引っ掻いただけでも敏感に反応するそこを、試しに指でぎゅっと挟んでやる。 「んお゛っぁ゛あア!♡♡♡」 「っ……え?もしかして今イきました?」  びくん。逞しい体が電流でも流されたみたいに跳ねる。肉筒がうねってきつく締まり、指が食い千切られそうだ。  けれど、半端に勃起している屹立は先走りで濡れているだけ。射精したような跡は見られない。まさか空イキってヤツか。  思わずがばっと顔を上げると、薄く開かれていた男の瞼が持ち上がり、三日月が満月になる。 (ああ、あ、また捕まった)  金の瞳に魅入られて、俺の体は石にでもなったように動けなくなった。  男は固まる俺をぼんやり眺めている。そうして、傷だらけの顔が笑みに綻んだ。  野花が開くみたいな笑顔。そんな表現がでかくてごついおじさん相手に浮かんで、自分の思考に呆然としている間に、男の両手がゆっくりと俺の肩を押す。

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