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 今まで知らなかった雄の欲求が煮え滾っている。熱さで頭がおかしくなりそうだ。 「ハハ……もうとっくに、おかしくなってるか」  でなきゃ男の尻に欲情なんぞするものか、なんて自嘲を一つ。  どうせこっちも正気なんて遠い彼方だ。  なら、やりたいようにやってやる。 「ッ、だいたい、好きにヤられるとか、性に合わねェし…よっ!」 「オ゛ッ?!♡♡♡」  跳ねる男に合わせて腰を突き上げる。腹側のしこりを狙って抉ると、男が目を剥き舌を垂らして、くったりした雄の象徴から薄い白濁を飛ばす。薄すぎて射精というより潮吹きみたいな有様だ。  ぷしゃっと飛沫を飛ばしながら、体の中では咥え込んだ雄肉をぎゅうぎゅう絞める。持っていかれそうな強い締めつけに俺は歯噛みして堪えた。まだ貪り足りない。もっと、もっと。 「ア゛、ゥ゛ぁあ゛、お゛♡♡…っ、■■■――…、ッ♡♡」 「はァ?なに、何か文句ある?あっても、今更…っ、やめねえけどっ」 「ぉ゛、■■■、■■■…ぁア゛ッ、あ゛ーーっ♡♡」 「だーかーらーァ!わからねえっての!」  男が鳴き声の合間に何か言っているけれど、残念ながらどこの言語かすらわからない。英語でも無いし、そもそも今の頭でマトモにヒアリングなぞ出来るわけがない。つい怒鳴り返すと、相手は太い両腕を伸ばして俺の頭を抱え込もうとする。  すわ、ヘッドロックかと警戒する俺を他所に、男は髪を柔らかく撫でただけであっさり腕を解く。そしてその手を今度は己の腹に添え、臍の下辺りをとんとん指でさし示し始めた。場所を指差しながら腰を引いて、まるで、ずっぷり咥え込んでいる肉棒に腹奥を暴かせようと――― 「……もしかして、ココまで入れろっておねだり?」  問い掛けに返事はない。けれど、試しに引き締まった腰を掴んでぐっと奥を突けば、男の顔がとろりと快楽に蕩ける。首を大きく縦に振りたくり、一つしかない金目から涙を散らし。そうして腰をくねらせる姿が必死で、可愛くて……  ブツリと俺の中で何かが切れた。とっくにキレているのにまだ切れる理性があったとは。これが最後の一本だったのかもしれない。

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