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2.旅に出よう(13)

 このままだと、この先もシたくなる。そう思いながらも、キスが止められない。夢中で互いの唇貪ってしまう。 「んんっ……ふんっ……」 「……んっ……」  俺たちは、そのまま布団に倒れ込んだ。柊翔に抱えられるように抱きしめられ、何度も何度も唇の角度を変えて、互いの舌を絡め合う。 「はぁっ……」  ゆっくりと柊翔の唇が離れていくのが、少し物足りない。思わずジッと柊翔の唇を見つめてしまう。 「要……」  俺に覆いかぶさるように柊翔が俺を強く抱きしめる。柊翔の唇が、俺の耳元で囁く。 「ごめん。今日はヤバイかも」 「……し、柊翔さん」  一緒に旅行に行く。  そう思った時点で、俺だって、少しは覚悟してたし。たぶん、柊翔だって、期待してなかったとは思わない。実際、互いのものが、少し反応しだしてるのも自覚してる。あんなキスしてたのだ。反応しないほうがおかしい。  だけど。 「えと……さすがに、隣と襖挟んでる状態では、まずいかと……」  そうなんだ。  でかい和室を襖で仕切っているだけのこの状態で、その先に進む勇気は……さすがにない。しばらく俺を抱きしめていたけれど。 「……はぁ……。」  身体を離した柊翔が、俺の隣に座り込む。 「まぁ、そうだよなぁ」  ポツリと呟くと、もう一度、大きくため息をついた。布団から見上げる柊翔は、すごく大人っぽく見えて、俺みたいなお子様とは違うと思ってしまう。チラリと見下ろしてくる柊翔。 「~~~っ!う~!やっぱ、我慢できねぇっ!」  ガバッ!と俺に襲い掛かってきた柊翔だけど、どこか楽しげだから、俺もクスクス笑いながら、お互いにくすぐりあってしまった。 「ア、アハ、ハハハハッ!し、柊翔、やめてっ!」 「だめぇっ!この鬱憤はらさないとなっ!」  夜も遅くなってるっていうのに、俺たちは笑いが止まらなくなってしまった。  ガラッ! 「うるさいっ!」  襖が勢いよく開けられて、廊下には風呂上がりの朝倉先輩と一宮先輩が立っていた。 「す、すみません」  笑いすぎて涙目の俺と、苦笑いの柊翔は、「まったく」と、二人に呆れられてしまった。

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