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2.旅に出よう(14)
「もう、さっさとお風呂に行ってくださいっ!」
勢いよく襖を閉めた朝倉先輩たちは、ブツブツ何か言いながら、隣の部屋に戻っていく。
「怒られちゃいましたね」
クスクス笑いながら、いつの間にか俺に跨っていた柊翔を見上げる。
「ああ」
そう返事をすると、軽くキスをしてきた。
「柊翔さん、先にどうぞ」
「いや、お前、先に行けよ」
「ここは先輩のほうが先に行ってもらわないと」
「……わかった」
風呂へ行く用意をすると、俺の頭をクリクリと撫でて、静かに襖をしめて部屋を出て行った。柊翔が撫でてくれた頭に自然と手が伸びて、触れてくれたところを触ってしまう。そして、笑みがこぼれてしまうのだ。
俺も風呂に行く準備をしようと、バックの中を見ていると。
―――その時。
『あっ……はぁっ!だ、だめ……』
……!?
え?
思わず、隣の部屋を仕切っている襖を凝視してしまった。
『ふふっ、遥……かわいい……』
『い、いやっ、いじわるっ……っ!』
え?え?え?
襖越しに、微かに動き回る音が聞こえてくる。
まさか。
まさか。
まさかっ!?
……確かに、いつも一緒にいるし、イチャイチャしてるって思ってたけど。
『あんっ!』
『こら、声出しちゃダメ』
『で、でもっ』
『ほら、我慢して』
『んんん~っ!』
『静かにしないと……あっちみたいになっちゃうよ』
さっきの俺たちのことを思い出すと、恥ずかしくなる。
それにしても、先輩たちの睦言が、一人でいる俺を煽りまくる。きっと、俺たちも二人で風呂に行ったと思ってるのかもしれない。俺がここにいるなんて、思いもせずに、コトを初めてしまったのか。
……ヤバイ。ど、どうしようっ!?
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