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3.再会(1)

 旅館での仕事は、時間に追われるおかげで、あっという間に昼を過ぎて、俺たちのバイトの時間は終わった。その間、俺も柊翔も、まともに話をする暇もなかった。 「お疲れ様~」  女将さんが、にこやかに声をかけてくれた。 「いやー、旅館のお仕事が、こんなに大変だなんて、思いもしませんでした」  そう言いながら、楽しそうな顔をしている柊翔。 「でも、俺、すごく楽しかったです」  俺がそういうと、女将さんは、すごく嬉しそうに笑ってくれた。 「それじゃ、午後からはお客さんとして泊まって行ってね」  そう言って部屋の鍵を渡すと、次の仕事のためにさっさと事務所のほうに戻って行った。 「俺、来年も来たいかも」  思わずつぶやくと、 「何、バイトで?お客として?」 「バイト。今回は一日しかやらなかったし、本当に、力になれたのかわかんないけど。次来るなら、もっと長く仕事してみたいなって」 「そっか・・・来年だったら、もっと、要と遊ぶ時間できると思ったのにな」  ちょっとだけ拗ねたような顔の柊翔に、 「そのためには、大学受からないと、じゃないですか」  トンッ、と、柊翔の背中を軽く叩いた。  女将さんの家から自分たちの荷物を引き上げると、今日泊まるはずの部屋に運びこんだ。 「うわ。部屋からの景色って、こんなに綺麗だったんですね」  障子を開けると、目の前には庭の木々越しに青い海が広がっている。 「お~。さっさと着替えて海に行くか」  後ろから現れた柊翔の声が、耳の近くで聞こえた。  あまりにも近くて、ドキっとして振り向くと、目の前に柊翔の顔。ん?なんて顔をして、俺の顔を覗き込んでくるから、胸がドキドキしてきてしまう。 「そ、そうですね。時間がもったいないですもん」  わたわたと、バックの中から水着を取り出して、俺はズボンのベルトをはずそうとした。 「か、要っ、そこで着替えるのかっ!?」 「……え?」  他にどこで?と思って振り返ったら、柊翔が見事に真っ赤な顔で俺を見ている。 「……」  赤い顔っていうのは、移るものなのだろう。自分も真っ赤になってきているのを自覚してしまうと、もうどうしようもない。 「……風呂場で着替えます」  もうっ!柊翔が変に意識するから、俺まで照れくさくなるじゃないかっ

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