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3.再会(3)
目の前の二人を見て、身体が動かなくなった。
この二人が、親しい?
なんだよ、それ?
どういうこと?
「亮平、こいつ、誰だよ」
柊翔の顔には、苛立ちが浮かび上がる。
美人が柊翔の名前を知ってる。
――亮平が彼に教えたのか?
「要……」
亮平の悲し気な目は、柊翔ではなく、俺を見ていた。
宇野さんに確かに助けてもらったけど、本当は、亮平が仕組んだことだった?
この二人の距離感に、俺には、そうとしか思えなくなっている。
あの時は、少しだけ……本当に少しだけ、亮平を許せた気になったのに。
「柊翔……か、帰ろう……」
言葉がスムーズに出てこない。
「……ど、どうした?」
柊翔の腕にすがりつくように立つ。
「お願いだ……帰ろう……」
「要っ、ちゃんと説明させて」
「嫌だっ!」
亮平が、俺のほうに近寄ってこようとするから、俺は後ずさる。
「お前の言うことなんか、もう、信じないっ」
「要……」
「……要、ちゃんと亮平の話、聞いてやれよ」
「はぁっ!?」
急に、柊翔が亮平のことをかばうようなことを言い出した。
「何、言ってんのっ!?」
もう、頭に血がのぼってきて、柊翔に対しての言葉遣いがいつもより雑になる。
「……おちつけって」
俺の両腕を柊翔が掴むけど、俺は、恐怖と怒り……そして、悲しみでおかしくなってた。
「……離せ……」
「……要?」
「離せっていってんだよっ!」
いつの間にか、目には涙が溢れてきていた。
俺は、柊翔の腕を大きく振り払うと、振り返りもせずに、旅館に向かって走っていた。
――なんなんだ。
なんなんだ。
なんなんだっ!
もう、頭の中は、あいつらのことでいっぱいで、俺はやっぱり騙されたのか?と言う言葉がグルグルと渦巻いて、周りのことが全然見えなくなってた。
「獅子倉くん?」
誰かが俺の名前を呼んだ気がしたけど、その声の主を確認することもなく、自分の部屋に戻ろうとした。
しかし、部屋の鍵は、柊翔が持ってたことに気づいて、そこで、ようやく、気持ちの高ぶりが落ち着いてきて、柊翔に対しての態度が最悪だったことにも気づいてしまう。
柊翔の顔、見られない。
俺たちの部屋の前で、両手で顔を抑えながらしゃがみこむ。
「最悪だ……」
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