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3.再会(4)

* * * 「離せっていってんだよっ!」  目に涙をためた要が、俺に向けた目は、悲しみでいっぱいだった。  要がこんなにも、嫌がるなんて。  俺の腕を振りほどいて、旅館のほうに駆けていく。このまま要を追いかけていきたいけれど、亮平とそのツレのほうも気になった。 「亮平。どういうこと」 「……三平、戻ってろ」 「……へーい」  そう言いながら、三平と呼ばれた男は、亮平が現れた方向に向かって戻りだす。 「あー、鴻上さん」  思い出したかのように、三平は振り向いた。 「祥吾、元気にしてます?」 「……は?」 「だって、あんたの後輩でしょ。会ったら、よろしく伝えておいてくださいよ」 「……」  ニヤリと笑うと、そいつはそのまま立ち去った。  祥吾の知り合い。  その時点で、嫌なことしか思い浮かばない。亮平は三平が立ち去るのを確認してから、俺と向かい合った。 「亮平、なんで、お前がここにいんだよ」 「全国大会前の合宿。この近くにうちの高校の合宿所があるんだよ」 「……っ」  そういえば、こいつは全国大会に出るんだった。それを思うと、悔しさがこみあげてくる。 「……お前らは旅行か」 「……ああ」  亮平の顔が歪む。  こいつの気持ちは、あの頃から変わっていない。今更ながら、それを目の当たりにする。 「あいつは、なんなんだよ」  立ち去って行った方を睨みながら、亮平に問いかける。  そう、今は、あいつの正体を知りたい。 「河合とどういう関係?要のことも知ってるみたいだし」 「……知ってどうする」 「知らないほうが、不安なんだよ」  そうだ。  要が逃げ出したのは、亮平のことだけのはずがない。  あいつも何かしら、関わってるに違いない。祥吾の名前を出したくらいなんだから。

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