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3.再会(11)
さっさと着替えてしまった俺と、浴衣のままグダグダしている柊翔。
「朝食持ってきてくれる前に、布団、あげちゃいましょうよ」
ほらほらっ、と言いながら、腕を引っ張ると、嬉しそうに抱き付いてくる柊翔。
「こ、こらっ!」
「いいだろ。外じゃできないんだし。今ぐらい」
甘えてくる柊翔を押し返していると、ノックの音がした。
「ほらっ!」
はい、と言って、鍵をあけると、布団をあげにきた仲居さんがニコニコと立っていた。
「おはようございます」
「おはようございます。布団、あげてもいいですか?」
「あ、俺たち、自分でやれるんで、他のお客さんとこ、いっちゃってください」
「あら、いいの?」
「大丈夫っす。あ、食事のほうは、お願いします」
「はい、わかりました」
じゃあね、とニコニコと去っていく仲居さんを見送ると、部屋に戻ると、着替えようとしていた柊翔の裸の背中を見て、ドキドキしてしまった。
和やかに朝食を終えると、もう、後は帰るだけ。
「……海、ちゃんと遊べませんでしたね」
「ん……」
「来年」
「だな」
バックをとると、二人でチェックアウトのカウンターに向かう。
「あら、もう帰るんですか?」
俺たちの後ろから声をかけてきたのは、朝倉先輩だった。
「あ、はい。朝倉先輩たちは、まだしばらく、こっちですよね」
「うん。合宿前に一度戻るけどね。鴻上先輩は、合宿来てくれるんですか?」
「そうだなぁ、たぶん、夏期講習とぶつかってないはずだから、一日くらいは行けると思うけどな」
「そうですか。期待して待ってますよ」
「一宮先輩は?」
「あ、遥は別の人と動いてるから」
あ、ちょっと寂しそうかも、と、二人の関係を知ったせいか、朝倉先輩の表情がわかってしまうから、思わずニヤニヤしてしまう。
「獅子倉くん、その顔はアウトだから。」
白い眼で見られてしまった。
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