43 / 69

4.火花散る(5)

 祭りの日も、嫌味なくらいの晴天で、まさに蕩けてしまいそうに暑い日。  昼間から、子供神輿が、街の中を練り歩いてるのを見かけて、"暑いのに、かわいそうに"と思って、二階の窓から見下ろしてた。夕方になれば、少しは気温も落ち着くか?なんて、思ってたけど、やっぱり、昼間の熱は下がることもなく、アスファルトの暑さを感じながら、駅前に向かった。 「おー!要~!久しぶり~!」  懐かしい顔が、そこには待っていた。 「雅春(まさはる)和人(かずと)、久しぶり~!」  七尾 雅春(ななお まさはる)と、斉賀 和人(さいが かずと)は、中学時代のクラスメイトで、なんだかんだとつるんでた。 「お前、少しでかくなった?」  中学時代は、俺と同じくらいだった雅春が、俺よりちょっとだけ、目の位置が低くなってる? 「……みたいだな」  思わず、イシシッと笑ってしまう。 「なんか、ムカツク」  眉間にシワを寄せる雅春に、まぁまぁ、と、とりなそうと頭をなでる和人。 「くっ、やめろってーの。お前のそれのほうがムカつくわっ!」  頭にある手を振り払って、先をずんずん歩いていく。 「雅春は、相変わらずだね」 「うん、クラスでも、みんなに可愛がられてるよ」 ククククッ、と楽しそうに笑う和人を、 「だろうねぇ」  一緒に、笑ってしまう。 「おめーら、俺をネタに笑ってるだろ」  後ろを振り向いて、ジロリと睨む雅春。 「アハハハ、雅春は変わらないね、って言ってただけだよ」 「変わるかよ、卒業して4か月くらいじゃんかっ。」 「ムカツク、ムカツク!」そればっかり言いながら、先を歩いていく。  打ち合わせしたわけでもないのに、俺たちは似たような甚平姿。雅春と和人は、こっちの同じ高校で、俺だけ離れた高校になったけど、こいつらと話していると、気持ちだけ中学時代に逆戻りする。 「そういえばさ」  和人が面白いことを思い出した、と、俺に話し出す。 「雅春、彼女できたんだって」 「マジかっ!?」 「ククク、それも年上の」 「ええええーっ!?」  思わず、大声を出す俺に、あ?、という顔で振り向く雅春。 「お前、彼女できたのっ!?」 「はぁっ!?な、和人、何言ってんだよっ!」  慌てて戻ってきたかと思えば、和人に思いっきりヘッドロックをかます。 「く、苦しいって!ギブ、ギブ!」 「おめー、ほんと、余計なことばっか言ってんじゃねーよっ」 「ゲホゲホッ、余計って、本当のことじゃん」  顔を真っ赤にしながら、雅春を睨みつける。

ともだちにシェアしよう!