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4.火花散る(5)
祭りの日も、嫌味なくらいの晴天で、まさに蕩けてしまいそうに暑い日。
昼間から、子供神輿が、街の中を練り歩いてるのを見かけて、"暑いのに、かわいそうに"と思って、二階の窓から見下ろしてた。夕方になれば、少しは気温も落ち着くか?なんて、思ってたけど、やっぱり、昼間の熱は下がることもなく、アスファルトの暑さを感じながら、駅前に向かった。
「おー!要~!久しぶり~!」
懐かしい顔が、そこには待っていた。
「雅春 、和人 、久しぶり~!」
七尾 雅春 と、斉賀 和人 は、中学時代のクラスメイトで、なんだかんだとつるんでた。
「お前、少しでかくなった?」
中学時代は、俺と同じくらいだった雅春が、俺よりちょっとだけ、目の位置が低くなってる?
「……みたいだな」
思わず、イシシッと笑ってしまう。
「なんか、ムカツク」
眉間にシワを寄せる雅春に、まぁまぁ、と、とりなそうと頭をなでる和人。
「くっ、やめろってーの。お前のそれのほうがムカつくわっ!」
頭にある手を振り払って、先をずんずん歩いていく。
「雅春は、相変わらずだね」
「うん、クラスでも、みんなに可愛がられてるよ」
ククククッ、と楽しそうに笑う和人を、
「だろうねぇ」
一緒に、笑ってしまう。
「おめーら、俺をネタに笑ってるだろ」
後ろを振り向いて、ジロリと睨む雅春。
「アハハハ、雅春は変わらないね、って言ってただけだよ」
「変わるかよ、卒業して4か月くらいじゃんかっ。」
「ムカツク、ムカツク!」そればっかり言いながら、先を歩いていく。
打ち合わせしたわけでもないのに、俺たちは似たような甚平姿。雅春と和人は、こっちの同じ高校で、俺だけ離れた高校になったけど、こいつらと話していると、気持ちだけ中学時代に逆戻りする。
「そういえばさ」
和人が面白いことを思い出した、と、俺に話し出す。
「雅春、彼女できたんだって」
「マジかっ!?」
「ククク、それも年上の」
「ええええーっ!?」
思わず、大声を出す俺に、あ?、という顔で振り向く雅春。
「お前、彼女できたのっ!?」
「はぁっ!?な、和人、何言ってんだよっ!」
慌てて戻ってきたかと思えば、和人に思いっきりヘッドロックをかます。
「く、苦しいって!ギブ、ギブ!」
「おめー、ほんと、余計なことばっか言ってんじゃねーよっ」
「ゲホゲホッ、余計って、本当のことじゃん」
顔を真っ赤にしながら、雅春を睨みつける。
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