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4.火花散る(19)
緊張感のある道場……かと思ったら。
たぶん子供らの保護者と思われるお母さんたちも、剣道着着てる?
「あら~、はるまくんのお母さん、最近、どう?」
「なかなか、竹刀が重くて~。そう言う、しょうたくんのお母さんはどうです?」
「私も同じく。どうしたら、あんな風にかっこよく振れるのかしらねぇ。」
はぁ、とため息をついて見ているのは、キリリとしまった表情で、小学生くらいの子たちを教えている男性……?
「京子先生っ!俺も教えてよ!」
「だめよっ!私たちのほうが先なんだからっ!」
「まぁまぁ、お前ら、後で行くから。」
……京子先生?じ、女性かっ!?
「日高~、師範は?」
「あ、太山くん、お父さんなら、ちょっと出てるよ。もうすぐ戻ると思うけど。」
子ども達に、ちょっと待っててね、と言って、俺たちのところにやってきた。
「日高、前に話してた、獅子倉くん」
「こんにちは」
どんな話をしてたのかが気になりつつ、とりあえず無愛想にならない程度に挨拶をした。
「……」
「おい、日高?」
なぜだか、硬直している日高さん。
「おいっ」
「あ、あああ、こ、こんにちは」
……この人、意外に人見知りなのかな。
顔を赤くしながら、チラチラ見てくるんだけど、俺の顔に何かついてるんだろうか?気になって太山さんを見ると、その太山さんも、訝し気に日高さんを見ている。
「と、とりあえず、あそこに保護者の方たち用に椅子があるから、そこで見学してください」
それだけ言うと、さっさと子供たちのほうに戻って行った。
「……なんだ?あいつ」
不思議そうに言いながらも、日高さんの後を追って、子供たちのところへ向かって行った。
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