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4.火花散る(21)

 個人的にやっているらしく、けして大きくはないこの道場。教えてるのは、師範と日高さんと太山さんだけ?この時間のせいなのか、参加してるのは子供と保護者のお母さん方だけ。なんとなく、俺がいるというのが居心地が悪い気がしてきた。でも、子供たちはすごく楽しそうで。俺も、あのくらいの頃は、ただひたすら竹刀を振っていたなあ、なんて思い出してしまった。 「要」  急に名前を呼ばれて、驚いた。振り向くと、入口のところに柊翔がいた。 「柊翔さん?」  慌てて、近くによると、 「柾人さんに、教えてもらってきた。剣道、やるの?」  すごく嬉しそうに俺を見つめる柊翔。  ……あ。  これって、断れないパターン?苦笑いしながら答えた。 「いえ、まだ、見学に来ただけですし」  柊翔とともに、保護者の椅子に座る。 「……本当はあそこに行きたいんじゃないですか?」  見るからに、うずうずしているのがわかって、クスリと笑ってしまう。 「やっぱ、わかるか?」  照れて笑う姿に、こっちも笑みがこぼれてしまう。 「俺に気を使わずに、行ってきていいですよ」 「いや」 「?」 「お前のそばにいるほうがいい」  ニコリと笑って俺を見るから、俺の顔は沸騰してしまう。 「な、何言っちゃってるんですかっ」 「ククク。照れちゃって、やっぱ、カワイイなぁ」  そう言って、頭撫でるの、やめてくださいっ。 「柊翔、来てたのか」  爽やかに汗を拭いながら登場する太山さん。 「柾人さん、楽しそうっすね」 「まぁな~。子供らに教えるの楽しいからなぁ」  先生~、ばいば~い!、という声に、にこやかに手を振り返す太山さん。 「プッ。柾人さんが、『先生』っすか」 「し、仕方ないだろっ。教える側なんだからさ」  照れている柾人さんが、かわいくて、俺たちは笑ってしまう。

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