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4.火花散る(24)
* * *
剣道場の窓から、要と柊翔の後ろ姿を見送る日高 京子 。
眩しいものを見るように、二人を見ていると、隣に柾人が立った。
「……気に入った?」
「……そうだね。すごい、カワイイし」
「そっか」
少し、複雑な表情の柾人。
「でも、鴻上くんもいいよね」
「えっ!?」
驚いて日高を見ると、頬を染めながら二人を見続けている。
「おい……まさか」
「ん?何?」
「柊翔には、付き合ってるヤツいるからな」
少し慌て気味に言うと
「へぇ。そうなんだ。まぁ、モテそうだもんね」
そう言いながら、ニコニコ顔の日高。
あれ?どういう意味の『いいよね』だったんだ?と思いながら、ジッと見つめる太山に、日高は余計に顔を赤くする。
「な、なによ。なんか、顔についてる?」
「いや。別に」
わけわからん……。肩をすくめると、再び試合場の中に戻って行った。
チラリと離れていく太山を見て、ため息をつく日高。
「少しは、ヤキモチ妬いてくれたっていいのに」
鈍感な奴は、やっぱ、わかんないか、と、頭を振りながら太山の後を追う。
「まぁ、いっか」
一緒にいられるだけでも。
気合いの声が響く中、子供たちを教えている太山の姿を見つめた。
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