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第三章・6
残酷だ、とは思ったが、誠は隠さずに外山の計画を伝えた。
「君はしばらく私の元で、心身を整える。そして、組長へのギフトとして贈られるんだ」
「……組長、って。どんな人?」
「温厚だが、怒ると手が付けられなくなる。彼を怒らせないようにするために、私は君を教育しなくちゃならない」
「僕が、組長さんを怒らせたらどうなるの?」
「最悪、殺される。養育係の私も、ただではいられないだろうね」
露希は、震えあがった。
こんなに簡単に、人の生死を語る世界に足を踏み入れてしまったんだ、僕は。
「大丈夫。私の言う通りにしていれば、消されたりしないよ。君は」
すごく可愛いからね、と誠は露希の髪をくしゃりとなぶった。
「しばらく、のんびりしてていいよ。お腹がいっぱいで、動けないだろう?」
その後で、出かけよう、と誠は言った。
「服や雑貨をそろえなきゃいけない。一緒に買い物をするよ」
「うん……」
露希は、昨晩の反田を思い浮かべた。
あんな格好をしなきゃいけないのかな、僕も。
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